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多くの物質がまじっている混合物から特定の物質を分離、精製したり、混合物中のいろいろな成分を分析、同定する化学的方法。クロマトグラフィーを利用して、混合物の成分を分離する装置をクロマトグラフという。
1906年、イタリア生まれのロシア人植物学者ミハイル・ツベットは、クロマトグラフィーによって混合物中のいろいろな物質をそれぞれ分離することができることをしめした。 ツベットは、一端が細くくびれたガラス管を垂直にたて、この中に吸着剤の炭酸カルシウム粉末をつめて分離管(カラム)とした。一方で、植物の葉を石油エーテル(ガソリンの一種、いわゆるエーテル類とはまったく別の有機物)にひたして着色成分をとかしだし、この着色液をカラムの上に静かにそそぎいれ、さらに石油エーテルをながした。 着色液が石油エーテルであらわれながらカラムの中を下降していくにしたがい、まじっていた着色成分が分離し、カラムの中にいろいろな着色成分に対応する何本かの帯がみえるようになった。 これら着色した帯のパターンをクロマトグラムとよぶが、クロマトグラムとはクロマトグラフィーによる分離結果をしめす図のことである。 この現象は、着色液にふくまれていた着色成分のうち、炭酸カルシウムに吸着しやすい成分はゆっくり、吸着しにくい成分ははやくカラムの中を移動していくためにおこったものと考えられる。このようにしてツベットは、植物色素のクロロフィル(葉緑素)を葉の抽出液から分離することに成功した。 ツベットがこの方法を色素の分離にもちいたために色の記録を意味するクロマトグラフィーという言葉がつかわれた。クロマトグラフィーはツベットの報告後すぐには普及しなかったが、1930年に入りカロテノイド(動植物の組織にふくまれている色素の総称)の精製に適用され、広くつかわれるようになった。この方法は、分離能力がほかの方法にくらべて格段にすぐれている。その後いろいろな吸着剤、装置、および検出器の開発、改良がすすみ、色素にかぎらず多くの物質の分離、分析にその威力をしめした。その結果、クロマトグラフィーは複雑な混合物中の成分を分離・分析するための不可欠な技術として、食品や薬品、血液、石油製品、放射線照射による生成物などの分離・分析、犯罪捜査に広く利用されるようになった。
クロマトグラフィーは、固定相とそこを移動する移動相という2相間での物質の分配が、物質ごとにちがうことを利用して分離する方法と考えることができる。ツベットの例は、固定相が炭酸カルシウム、移動相が石油エーテルである。 クロマトグラフィーは分類する基準によっていろいろな名称があるが、この固定相の形状によってクロマトグラフィーを分類すると、ツベットのように固定相をつめたカラムとよばれるガラス管やステンレス管などをもちいるカラムクロマトグラフィー、シリカゲルやアルミナ(酸化アルミニウム)などの固定相をガラス板またはプラスチック板にうすくぬった板をもちいる薄層クロマトグラフィー、濾紙(ろし)を固定相とするペーパークロマトグラフィーなどがある。
ペーパークロマトグラフィーの一般的な方法は、細長い濾紙片の一端に液体試料を小さなスポットになるようにしみこませてから、そこをかわかす。次にこの濾紙片の試料をつけた側を、移動相としてもちいる有機溶媒(→ 溶媒)などにひたし、たてかけておく。すると、毛管現象でこの溶媒が濾紙の中を上昇し、それにともない試料中の成分が分離される。これを2次元ペーパークロマトグラフィーという。 四角の濾紙の一隅に試料をつけて、最初にある溶媒を移動相として試料を分離し(2次元)、ついで分離された試料に対して、最初の方向と直角な方向に別の溶媒をもちいて分離をおこない、2次元の操作でわかれなかった物質をさらに分離しようとする3次元ペーパークロマトグラフィーもおこなわれる。ペーパークロマトグラフィーは化石にふくまれるアミノ酸の分析などに利用されている。
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