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太陽エネルギー

太陽エネルギー たいようエネルギー Solar Energy
百科事典項目
項目構成
1

平板型

平板型では、集熱板の中を通過してながれる気体や液体などの流体に、太陽熱エネルギーをうけわたすというプロセスになっている。これらの流路を通過した流体の温度は、集熱板からの熱伝達をうけ上昇していく(熱の伝達)。太陽エネルギーから、流体中にとりこまれるエネルギー量は、集熱器の種類によってことなるため、瞬間の熱効率をパーセントでしめしている。また、最大の熱効率をえながら、集熱板からの熱の損失を最小限にするためにガラスなど光学的に透明なカバーを装着している。平板型集熱器の典型的な例では、40~80%の熱効率で流体を82°Cまで加熱することができる。ちなみに、真空に近い状態になったガラス管の中に集熱板をくみこみ、空気による熱の損失をおさえる工夫をした真空管型とよばれるものもある。

平板型集熱器の流体として、これまで多くの場合水がつかわれ、ほぼじゅうぶんな効果がえられていた。住居に応用された代表的な例は、太陽熱温水器である。これは、北半球では南側に、南半球では北側にむけておく。また、水平面と太陽熱温水器のなす傾斜角の最適値は、その場所の緯度に関係している。一般的に、年間を通じて、水平面と相対的になす角が緯度とひとしい、もしくは±15度以内、また、方位は北半球では真南、南半球では真北か、もしくは±20度以内が最適である。

それにくわえて、最適な太陽熱温水器のシステムでは、循環のためのポンプ、温度センサー(センサー)、循環ポンプを作動させるための自動制御装置と蓄熱装置が必要である。

2

集光型

一般的に、平板型では、じゅうぶんに温度を上昇させることができない。したがって、この方法では、エアコンやセントラルヒーティングといった空調、また産業用に使用するための莫大(ばくだい)な熱の供給をささえることはできない。そこで、流体の温度をさらに上昇させる必要がある場合は、ほかの方法によっておこなわれる。

平板型にかわる方法として、より複雑でかつより高価であるが、集光型の集熱器がある。集光型のうちで、小型の固定式のものは、セグメントミラーとよばれる平面鏡やパラボラ(放物線)形の放物凹面鏡、フレネルレンズ(レンズ)などを利用して集熱する。

一方、タワー集光型とよばれるものは大規模な装置で、太陽を追尾するためにヘリオスタット(多数のセグメントミラーからなる集合体)とよばれる装置をコンピューターで制御し、太陽光をタワー頭部にある光学的に焦点となる小さなエリアに集熱させ、熱媒体の温度を高温にする装置である。また、タワー頭部の集熱器のかわりに反射鏡をとりつけ、太陽光をヘリオスタットにもどし、2回集光してから地上の集熱器であつめるダブル集光型とよばれるものもある。このような方法をつかうことで、集熱部の温度は、摂氏数百~数千度にも達する。

3

太陽炉

太陽光をあつめ、数秒という短時間で高熱をつくりだす装置を太陽炉という。太陽追尾用のヘリオスタットで太陽光をうけ、その反射光を凹面鏡で集光する方式や、ヘリオスタットをつかわない直達方式など数方式がある。最高3000~3500°Cの高温がえられる。このような高温は他の方法では発生しにくいうえ、不純物の混入がほとんどなく、また、任意の気体中の試料を加熱でき、急加熱・急冷却が可能であるため、高融点の金属、耐熱材料など高温物性の研究に利用される。

ピレネー山中のフランス国立太陽エネルギー研究所の超大型太陽炉は、側面が直径54m、焦点距離18mの放物面で、これが約130m先の1840m四方の領域に9600枚の反射鏡があるヘリオスタット群(63基)の反射をうけて、温度約3500°C、1000kWを出力し、高温材料の開発に利用している。なお、太陽炉で世界最高の温度を達成したのは、東北大学の科学計測研究所(現、多元物質科学研究所)の太陽炉で、1962年(昭和37年)に3727°Cという温度を記録した。

4

太陽熱発電

太陽熱エネルギーを利用して発電をおこなう太陽熱発電には、タワー式やトラフ式などがあるが、タワー式では次のような手順で、太陽エネルギーを電気的なエネルギーに変換することができる。まず、集熱タワー(中央集熱器)に、コンピューター制御で動作しているヘリオスタットを経由して太陽光線を集光する。タワーの最上部には、給水管ではこばれた高架水槽があり、その中の水を集熱器でうけとった太陽の熱で水蒸気にかえ、発電タービンに供給する。日本で最初に、このような方法で太陽熱を大量に集熱してつかったのは、サンシャイン計画の一環として香川県仁尾町(現、三豊市)で実験された太陽熱発電である。1981年(昭和56年)に世界初の太陽熱発電をおこない、発電能力は、1000kWであったが、日本では散乱光が多く、経済性が低いと評価され、実験は85年に中止された。

現在稼働中で、世界最大の太陽熱発電所は、1985年から稼働しているSEGS(Solar Energy Generating Systems)プラントで、アメリカ・カリフォルニア州モハーベ砂漠にある。太陽熱のほかに天然ガスを補助熱源として利用しているが、総発電量は35万kWをほこっている。約1.7km²の広大な敷地に整然とならんだ集熱器(幅6m、長さ100m)は、湾曲した反射板の前におかれたパイプに集熱させて中の油を約400°Cにまであたため、その熱で蒸気タービンを回転させている。この方式はトラフ式とよばれるもので、タワー式が集中式とよばれるのに対し、分散式ともよばれている。

5

太陽熱利用の冷却システム

太陽熱の利用は、暖房だけでなく冷却システムとしても利用されている。臭化リチウム水溶液をつかった吸収式冷房機では、臭化リチウム水溶液を沸騰または凝縮させ、気化熱によって冷却するようになっている。従来から石油やガスボイラーなどを熱源として利用されていたものを太陽熱におきかえたもので、100°C以上の高温水が必要なことや、複雑なシステムなために製造コストが高く、普及はしなかった。これに対し、空気中の湿分を吸収する乾燥剤(デシカント)を使用したデシカント式冷房システムは比較的簡単な装置で冷房ができるものとして注目されている。原理は、乾燥剤をしみこませたローターを回転させ、空気中の水分を吸着させる除湿行程と空気でローターを乾燥させる再生行程を交互にくりかえすようになっている。この場合、熱源として太陽熱を利用したヒートポンプ(空調)が利用されている。

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