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梅毒トレポネマというスピロヘータの1種(→ 細菌)によっておこる感染症。 性交渉によって感染する。スピロヘータは乾燥するとすぐ死ぬので、患者のふれた物から感染することはほとんどない。
梅毒がはじめてヨーロッパにもちこまれたのは、1493年、コロンブスの第1回アメリカ探検隊の隊員によるとされている。その後、はげしい勢いで全ヨーロッパにひろがり、16世紀には一般的な病気の1つになった。梅毒のスピロヘータは1905年、ドイツの動物学者シァウディンによって発見された。09年にはドイツの細菌学者P.エールリヒと秦佐八郎が、ヒ素をふくむサルバルサンという薬を開発したが、副作用があり、効果もよくなかった。43年に抗生物質のペニシリンがひじょうによくきくことがわかり、現在でも治療にはペニシリンがつかわれている。 日本に梅毒がはいってきたのは1512年(永正9)ごろといわれる。おそらく倭寇が行き先の港からもたらしたものと推測されている。以後、急速に全国にひろがっていった。衛生状態の悪さや公娼制度があったために、患者の数はへることなく、下火となったのは1950年前後のことである。現在は毎年500例前後の発症がある。
感染後2~3週間たつと、まず感染した部分に小さなしこりが1つあらわれる。このしこりはやがて、ひじょうに感染力の強い潰瘍(かいよう)になる。これが第1期である。第2期は、それから約6週間後、全身に発疹があらわれ、口の中に潰瘍ができるが痛みはない。陰部には、ひじょうに感染力の強い、平らないぼのようなものがたくさんできる。頭痛、発熱、リンパ腺のはれがみられることもある。症状は3~12週間できえる。 やがて潜在期にはいると、外からみるかぎり症状はなく、なんの変化もあらわれない。しかし体の内部組織では、炎症による変化がおこっている。この期間は20~30年もつづき、患者の75%には、症状はそれ以上あらわれない。しかし、第3~4期、つまり最終段階になると、皮下組織や粘膜、骨、肝臓、腎臓、その他の内臓に、ゴム腫というかたいこぶのようなものができる。心臓や血管にまで感染がおよぶと、死にいたる。 第3期梅毒の15%は中枢神経に感染して、脊髄癆(せきずいろう)などの神経梅毒になり、知覚障害や歩行障害があらわれる。また、反射がわるくなり、筋肉の協同運動、排尿のコントロールができなくなる。やがて精神病がおこることもある。子宮に感染すると、流産や死産をする。子供が生まれても、先天性梅毒の症状があらわれる。特有の顔つきとなり、20歳になるまでに中枢神経系の症状が悪化する。
梅毒は症状からも発見できるが、血液検査あるいは脊髄液検査をおこなうと確認できる。もっともよくおこなわれるのは、梅毒の抗原を検出する血清反応検査である。 治療には、ペニシリンがもっとも効果がある。ペニシリンアレルギーがある場合は、エリスロマイシンなどをもちいる。梅毒をなくすには、感染者が性交渉をもったすべての相手を追跡し、感染の疑いのある人にはすべて治療をしなければならない。コンドームの使用は、感染予防に役だつ。
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