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球形をした寄生性の細菌で、通性嫌気性のグラム陽性菌。ふつう空気中、水中、皮膚やヒトの咽頭上部にいる。 かつてはペニシリンが抗生物質としてブドウ球菌に有効だったが、耐性のある菌株(→ 耐性菌)がふえてきた。このような耐性ブドウ球菌感染症には、半合成ペニシリン、セファロスポリン、バンコマイシンのような抗生物質が投与されている。 ブドウ球菌でもっともよくみられるのは、黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌である。黄色ブドウ球菌は病原性が強く、皮膚の感染症(→ 皮膚炎)や食中毒をおこす。表皮ブドウ球菌は病原性が弱いため、ふつうは感染をおこさないが、菌にとって条件がととのえば、やはり重大な感染症をひきおこすこともある。
健康な人の皮膚や鼻の穴に常在している。毛包に感染して炎症をおこすと、よう、せつといった化膿性のおできをつくる。そのほか、とびひ(膿痂疹)、指先や爪(つめ)の感染でおこる瘭疽(ひょうそ)、骨髄炎、気管支肺炎(→ 気管支炎)、急性心内膜炎、表皮剥膜(はくまく)性皮膚炎などの原因となる。表皮剥膜性皮膚炎は新生児が黄色ブドウ球菌の毒素に感染したために皮膚がはがれる病気である。院内感染で傷口ややけどから黄色ブドウ球菌が体内にはいったり、腎炎や傷口感染がひどくなったりすると、敗血症になることもある。 そのほかに、黄色ブドウ球菌は食中毒の原因にもなる。手から手へとうつって食品を汚染する。熱に強いため、食品を加熱しても予防はできない。食品の管理に注意し、調理器具、手指などを清潔にたもつことが感染予防につながる。→ 食品衛生 1980年代初めに、抗生物質に耐性をもつ菌がふえてきた。院内感染でMRSA感染症が流行し、おそれられた。MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)はほとんどの抗生物質がきかない。のちにバンコマイシンが開発され、やっと流行はおさまった。抵抗力の弱っている病人は、これに感染するといろいろな臓器の働きがわるくなって死にいたることもある。
皮膚の表面、鼻の穴、口、外耳、尿道に常在して、ふつうは感染をおこさず、宿主と無害な共生関係(→ 共生)をいとなむ。ただ、宿主の免疫力(→ 免疫系)が弱くなると、宿主より強くなって、炎症をおこす。たとえば心臓手術後で弱った体では心内膜炎の危険があり、尿路にいる菌は膀胱炎の原因となる。
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