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項目構成
インドの人々は、世界は巨大なとじた世界、宇宙卵であり、その中に幾層もの天界や地下界、同心円状に幾重にもつらなる海と大陸があり、その中心にインドをふくむ大陸があると考えている。
時間は大きな周期で循環していて、1つの周期は黄金時代から末世に向かって、しだいに悪くなっていくものと考えられている。クリタ、トレーター、ドバーパラ、カリと名づけられた4つのユガ(期間)が、徳性や豊かさを低くしながらつづき、カリユガの終わりには世界は火と水で破壊され、その後ふたたびクリタユガがはじまる。
人間の生命も循環している。死後、魂は肉体をはなれ、ほかの人間、動物、植物の中にはいり再生する。何に生まれかわるかは生前になされたあらゆる善業と悪業の総合判断できまる。この業の連鎖と生まれかわりを輪廻とよぶ。カルマはこのように冷厳な法則としてはたらくが、浄罪法や儀礼により消していくこともできる。また世俗の欲望をたつことによりカルマの束縛をはなれ、輪廻から解脱することこそ理想とされている。 このような真の解脱をもとめる者は少数のエリートではあるが、どんな時代にも存在した。ヒンドゥー教徒は、このように解脱をもとめる者と輪廻の中で徳性や利得をもとめる者の2派にわけて考えることができよう。前者はウパニシャッドにはじまり遊行の聖者たちが追求してきたもの、後者はベーダ以来今日の寺院を中心とした信仰やバラモンたちの儀礼的宗教、またカースト制度などにみられるものである。
ヒンドゥー教は当初、3つのベーダ、3つの階層(バルナ)、3つの人生区分(アーシュラマ)、3つの人生目標(プルシャアルタ)を説いた。ベーダはのちに民間的呪術をとりいれたアタルバ・ベーダをくわえ、4ベーダといわれるようになった。 バラモン(祭官)、クシャトリヤ(武人)、バイシャ(庶民)という3つの階層は、古代ギリシャ・ローマの社会や宗教制度にもうかがわれるような、古代インド・ヨーロッパ語族の社会に共通の観念である社会機能3分割制から発している。これにシュードラ(隷属民)がつけくわえられ4カーストとなったのは、バラモン教の勢力がパンジャブ地方からガンガー(ガンジス川)に移動した前10世紀ごろである。 3つの人生区分は学生期、家住期、林住期で、それぞれの時期に生まれながらの借りをかえす意味があるとされた。つまり学生期にベーダの天啓をつたえた聖人たちへの恩をベーダ学習により、家住期に先祖たちへの恩を子供をつくることにより、林住期に神々への恩を供犠(→ 犠牲)により返済するのだとされた。 これに世俗を完全にすてて苦行する遊行期がブラフマンへの恩返しとしてつけくわえられたのは、ウパニシャッドがあらわれ仏教がおこった前6世紀ごろである。同じころ、世俗をこえた価値を人生の3大目標にくわえ、財、法、愛、解脱という4大目標が説かれるようになった。 ヒンドゥー教の世俗的側面はスバダルマ(それぞれの義務)という観念をも生みだした。カーストにさだめられた仕事につく、カースト内で結婚して子供を得る、食事の禁忌をまもることなど、みずからのカーストの義務をはたすことと、祖霊への供物をかかさないことが、ほかのいかなる善行より優先するという教説である。
解脱をもとめるヒンドゥー教の哲学は、ウパニシャッドの思想を原型としている。個人の魂(アートマン)と世界の実体(ブラフマン)は本質的にはひとしく合一できるものであり、それを実現するためには、本来の関係からはずれて生じている輪廻からただしい知恵の実践によって解脱しなくてはならないとする教えである。これはサナータナ・ダルマ(永遠の法)とよばれる。 解脱にいたる道を、バガバッドギーターは次のように整理している。世俗的行為を結果をかえりみず絶対神への供犠としておこなうこと、ウパニシャッド的知恵の実修、絶対神に帰依し信愛(バクティ)のみをささげることの3種である。最後の他力思想は、古くから萌芽はみられるがバガバッドギーターで確立した思想で、中世のヒンドゥー教では大きな影響力をもつにいたった。南インドのアールワールやナーヤナール、ベンガルのクリシュナ信仰などが代表例である。 上述のようにウパニシャッドの哲学は世界の本質・実体を唯一なる原理・実体とするものであるから、ベーダ以来無数に存在する神々は理論上はこれに吸収され、その原理を体現するものとして生まれてくることになる。この論理で考えると、具体的な偶像神を儀礼でまつり崇拝することは、すなわち世界の究極の実在である唯一の存在(絶対神)によって生みだされた幻である物的世界で、できるかぎりの信愛をささげていることと位置づけられる。これによってヒンドゥー教の一神教的側面と多神教的側面が矛盾なく説明されるのである。
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