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常温では液体の状態にある唯一の金属元素。元素名は、水星を意味するラテン語mercuriumに由来するといわれている。中世ヨーロッパでは、金属元素に太陽系の天体に対応する呼び名をあたえ、水銀は水星の名でよんだ。元素記号のHgは、液体の銀を意味するラテン語hydrargyrumからとられた。かつては錬金術師(→ 錬金術)が、水銀をよく研究材料にもちいた。日本では、古くは水銀(みずがね)とよんでいた。
常温で流動性のある、銀白色の液体。空気中に放置すると少しずつ拡散する。冷却すると結晶となる。空気中では安定である。硝酸、濃硫酸(→ 硫酸)、王水にはとけるが、塩酸、希硫酸には反応しない。4.15K(ケルビン:→ 絶対温度)以下で超伝導性をしめす。 少量だが純粋なかたちで、あるいは銀と結合したかたちで存在するが、おもに辰砂を主要鉱石にもちいる。辰砂を空気中で加熱し、生成された蒸気を凝縮器にとおして水銀をとりだす。
熱膨張率(→ 熱膨張)がほぼ一定で等間隔の目盛ができ、熱伝導もよいことから、温度計に使用される。真空ポンプ(→ 真空技術)や気圧計、蛍光灯、水銀灯、電池などの材料などに使用されるが、環境汚染物質であることから、消費量はへってきている。水銀は多くの金属と結合し、アマルガムとよばれる合金をつくる。ただし、鉄とは結合しないので、水銀の貯蔵には鉄の容器をもちいる。
水銀は、人体に有害であり、蒸気などを少しずつでも吸入すると中毒症状があらわれる。とくにメチル水銀、フェニル水銀などの有機水銀は毒性が強く、長期間にわたって継続的に体内にとりこまれると慢性水銀中毒となり、神経や内臓がおかされて回復がむずかしい。水俣病は、メチル水銀中毒によるものである。→ 職業病と環境疾患 元素記号Hg。原子番号80。原子量200.59。融点約-38.8°C。沸点約357°C。密度13.534g/cm³(25°C)。周期表12族に属する。地殻中の存在量0.08ppm。
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