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太陽系の中で太陽にもっとも近い惑星。地球からみた水星は、日の出直前と、日没後のわずかな時間にのみ地平線上にみられ、観測はむずかしい惑星である。衛星の存在は知られていない。英名のMercuryは、ローマ神話の神々の使者であるメルクリウス(Mercurius)からつけられた。メリクリウスはギリシャ神話ではヘルメスである。ちなみに古代ギリシャでは、東の空にみえるものはアポロン、西の空にみえるものはヘルメスとよび、それぞれ別の星と考えていた。その後、この2つは同じ星だとわかり、ヘルメスとよぶようになったという。
水星の太陽からの平均距離は5790万kmで、太陽の周りを87.969日かけてまわっている。1962年まで水星の1日は水星の1年の長さにひとしく、常に同じ面を太陽に向けていると考えられていた。しかし、65年に、ドップラー・レーダー観測(→ レーダー:レーダー天文学)によって、自転周期は58.65日であることがわかった。したがって、水星は1回公転する間に約1.5回自転していることになる。表面がごつごつした多孔性の暗色の岩でおおわれているために、反射能は0.06しかなく、太陽の光をあまり反射しない。
水星の赤道直径は4880km(地球の0.38倍)、地球を1とした場合の体積は0.056、質量は0.05527とおよそ地球の約18分の1で、平均密度は5.43g/cm³と地球(5.52g/cm³)とほぼひとしい。これは太陽系のおもだった天体の中では地球についで2番目に高い密度である。地球の密度の一部は重力による圧縮に起因しているが、水星の表面重力は地球の0.38倍しかないことから、高密度な鉄のコア(内核)が地球のものより相対的に大きく、水星の大部分を構成しているだろうと考えられている。おそらく、水星の内部は半径1800~1900kmの巨大なコアで占められ、わずか500~600kmほどの薄いケイ酸塩のマントルと地殻でおおわれていると思われる。 分光観測によって、水星にはナトリウムとカリウムをふくむひじょうにうすい大気が存在していることがわかった。これらの元素は明らかに地殻から放出、拡散されたものである。太陽系ができたばかりのころ、ほかの原始惑星との衝突で軽い物質がはぎとられたために、水星の密度が高くなったのかもしれない。
アメリカの惑星探査機マリナー10号が1974年に2回、75年に1回、水星のそばを通過し、月のようなクレーター(隕石が衝突した痕(あと))でおおわれた表面の映像をおくってきた。また、太陽の光のあたっている側の温度が約430°C、あたっていない側が約-180°Cであることも報告してきた。地球の1%にあたる磁場をもつことも検出している。→宇宙探査の「水星」
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