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インフルエンザウイルスによる急性で、強い伝染性をもつ呼吸器疾患。流行性感冒(流感)ともよばれる。日本では空気が乾燥する12月から3月の冬場に感染が広がりやすく、1~2月に流行のピークをむかえることが多い。乳幼児や高齢者など、抵抗力の弱い人にとって危険性の高い感染症である。また、2003年(平成15年)11月に感染症法が改正され、全国5000の医療機関による定点報告が必要になった。「風邪の一種」と軽く思われがちだったが、感染力の強さや被害の大きさから、近年盛んに危険性が指摘されている。
インフルエンザをおこすインフルエンザウイルスには、A、B、Cの3つの型がある。A型ウイルスの表面には16種類の赤血球凝集素(ヘマグルチニン:HA)、9種類のノイラミニダーゼ(NA)という糖タンパク質があり、そのタイプによって、H1N1、H2N2、H16N9などと分類されている。→ウイルスの「特徴」 患者の咳やくしゃみなどでウイルスが空気中にちらばり、そのウイルスをすいこむ飛沫感染(ひまつかんせん)で流行する。1~5日の潜伏期間の後、寒気がして、突然、38~39度をこえる高い熱が出る。それと同時に頭痛、筋肉痛、関節痛がおこり、ときには下痢、吐き気(嘔吐)など胃腸にも症状があらわれる。つづいて、かわいた咳、のどの痛み、鼻づまり、鼻水、目がひりひりするなどの症状が出る。ふつう1週間程度で症状がきえ、熱もさがるが、いちばん問題になるのは合併症をおこしたときである。とくに肺炎や脳症をおこすと命にかかわることもある。
一般には、湿気をたもった部屋であたたかく安静にして、睡眠をじゅうぶんにとり、栄養や水分を補給することが大切である。幼児や高齢者、妊産婦、慢性疾患のある人は、抵抗力がおとろえているので、はやめに診断をうけ、合併症にかからないように気をつけたい。 長い間、インフルエンザウイルスに直接きく薬はないとされていたが、1990年代末から数年の間に、インフルエンザ治療につかえる薬がふえている。まず、パーキンソン病の治療薬である塩酸アマンタジン(商品名はシンメトレル)がA型のインフルエンザウイルスに効果があるとわかり、抗ウイルス薬としてつかえるようになった。 日本でも1998年にアマンタジンが認可され、その後、ザナミビル(商品名リレンザ)やリン酸オセルタミビル(商品名はタミフル)などがあいついで開発された。とくに、ザナミビルやリン酸オセルタミビルは、ノイラミニダーゼにはたらきかけて強い効果があり、A型とB型のインフルエンザウイルス両方にきくため、よくつかわれている。30分以内にウイルスのタイプを確定できる診断キットとあわせて、治療薬が効果を発揮しやすい発症後48時間以内の投与がしやすくなった。
高熱をやわらげるために解熱剤をもちいることが多いが、子供の場合はとくに注意が必要である。アスピリンのようなサリチル酸系やジクロフェナクナトリウムをつかった解熱剤は、ライ症候群やインフルエンザ脳症との関係が指摘された。血管や意識に障害が出て、痙攣をおこし、命にかかわることが多い。子供の発熱に対しては、効き目が穏やかなアセトアミノフェンをつかうべきだといわれている。
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