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ガスという用語は、本来は気体全般をさすが、日本では、家庭用または工業用のエネルギーを供給する燃料ガスのことをいう(→ 燃焼:燃料)。 燃焼性の気体混合物であるガスの成分は炭化水素で、それぞれのガスの性質は、分子の炭素および水素原子の数や配列によってきまる。ガスは、有毒な一酸化炭素もふくめて、純粋な状態ではほとんど無臭で漏れに気づかないことがあるので、一般に使用されるガスには硫黄(いおう)化合物やアンモニアなどで臭気をくわえて安全をはかることが多い。ガスの多くは、燃焼成分のほかに、燃焼性のない窒素や水をいくらかふくんでいる。 熱や照明のためにガスを燃焼させる装置は、空気の取り込み口のついたガスバーナーである。ドイツの化学者ロベルト・W.ブンゼンが発明したブンゼンバーナーはその一例である(→ ランプ)。 現在つかわれているガスには、石炭の乾留によってつくられる石炭ガス(→ 石炭:コークス:コールタール)、水蒸気と空気と炭素を作用させてつくる発生炉ガスおよび溶鉱炉ガス、地中からとりだす天然ガス、分子量の小さい炭化水素からつくるボンベ入り圧縮ガス(プロパンガス)などがある。大都市部では、液化天然ガスが、貯蔵施設から地中に埋設されたパイプラインで各家庭や工場に供給される。
石炭からえられるガスは、空気との混合比および燃焼特性が明らかにされているだけでなく、一酸化炭素、硫黄、不活性気体、水分の含有量に関する厳格な制限に適合するものでなければならない。この基準を満足させるため、石炭ガス化法の多くは、最後にガスの清浄化とメタン化処理をおこなう。今日では、水素を直接石炭と反応させてメタンを生成させる水素添加ガス化法がもちいられる。これらの製造法は合成ガス、水素、一酸化炭素を中間で製造せず、メタンを生じさせる。かつて石炭とコークスからつくられた照明用ガスやコークス炉ガスなどは、現在ではほとんど重要性をうしなっている。
発生炉ガスは、水性ガス(水蒸気を反応させたガス)からえられる。水蒸気と空気をふきこみながら、密閉した発生炉で低質の固体燃料(亜炭や瀝青炭など)を不完全燃焼させてつくられる。発生炉内に存在する空気のため、できたガスにはもえない窒素が約50%ふくまれ、燃料価値は低く、発熱量はコークス炉ガスの約28%しかない。 溶鉱炉ガスは、溶鉱炉内で石灰石と鉄鉱石と炭素が反応して生成するもので、約60%が窒素であるが、一酸化炭素を大量にふくむため、ある程度の発熱量をもつもので、溶鉱炉の運転中に、膨大な量が発生する。このガスのほとんどは溶鉱炉の注入空気の加熱とコンプレッサーの駆動用につかわれる(→ 圧縮空気)。溶鉱炉ガスの発熱量は、コークス炉ガスの約16%にすぎない。石油系炭化水素の熱分解によってできるオイルガスについては、クラッキング:石油を参照。
石油が埋蔵されている場所には、かならずといっていいほど天然ガスが存在し、油井を掘削すると、これが石油とともに噴出する。このようなガスを油井ガスという。しかし、石油がなく、天然ガスだけを産出するガス井もある。 天然ガスには、天然ガソリンや化学工業の重要な原料となる、価値の高い有機成分がふくまれている。天然ガスを燃料としてもちいる場合は、その前に、ナフサ、ガソリンのような重い炭化水素を液体の状態で抽出する。のこったガスがいわゆる乾性ガスで、これがパイプで家庭や工場におくられ、燃料としてもちいられる。ブタンやプロパンをふくまない乾性ガスが、天然に産出されることもある。乾性ガスは、軽い炭化水素であるメタンとエタンを主成分とし、プラスチック、薬品、染料などの製造にもつかわれる。日本へは、中東や東南アジアから液化天然ガス(LNG)の形で、専用の船ではこばれてくる。
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