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肝臓に炎症がおこる病気。肝炎は原因によってウイルス性肝炎、薬物性肝炎、自己免疫性肝炎、アルコール性肝障害(→ アルコール依存症)など、いろいろな種類がある。また、発症パターンの経過から、劇症肝炎、急性肝炎、慢性肝炎などにわけられる。日本では、ウイルスの感染によっておこるウイルス性肝炎がもっとも多い。肝炎のウイルスに感染すると、体に免疫の作用がはたらく。ウイルスの入りこんだ細胞をリンパ球が異物とみなし、とりのぞこうとして肝臓の働きがわるくなる。原因となるウイルスは現在、A~E型のほかG型などが発見されている。一度発病すれば免疫は成立するが、ほかの型のウイルスに対しては免疫がきかない(→ 免疫系)。また母子感染などは、免疫学的寛容といって乳幼児のころは、ウイルスを異物として認識せず、小学生のころから免疫機構がウイルスを攻撃しはじめ、肝炎がおこることもある。
A、B、C型いずれも症状は似ている。はじめに、発熱、全身倦怠感(けんたいかん)、関節痛、筋肉痛、食欲不振、吐き気などの症状が出る。肝臓がはれて大きくなり、みぞおちのあたりが痛むこともある。数日後、黄疸が出る。風邪とまちがえやすいが、血液の肝機能検査をすると値が高くなっている。 急性ウイルス性肝炎の治療薬は対症療法で、完全になおす薬はない。ふつうは安静にして食事療法をおこなえば、だんだん回復する。
おもに、A型肝炎ウイルスで汚染された井戸水や魚介類などを、生で飲んだり食べたりすることによって伝染する。衛生状態のわるい国へ旅行するときは、ヒト免疫グロブリン(→ 抗体)を注射すると3カ月くらいは効果がある。ワクチンもできている。冬から春先にかけて発生しやすい。集団発生することもあり、かつては流行性肝炎として知られていた。潜伏期間は約1カ月で、症状は強く出るが、適切な治療をうければ予後はよく、慢性になることはない。しかし高齢者では急激に症状がわるくなり、劇症肝炎をおこすこともあるので、注意が必要である。
アジア、アフリカで多い病気で、血液や唾液、精液をとおして感染する。成人では一般に性行為によって感染する。症状はほとんど出ないこともある。その場合はそのままなおってしまうか、ほぼ永久的にウイルスをもつキャリアとなって慢性にすすむ場合もある。B型肝炎ウイルスにはHBs、HBc、HBeの3つの抗原があり、血液中にあらわれた抗原をしらべれば感染しているかどうかがわかる。 症状の出方はA型より弱いが、まれに劇症肝炎になることもある。ふつうは3カ月くらいでなおる。 以前は輸血によって感染することが多かったが、現在、輸血用の血液はすべて、HBs抗原に対するチェックがおこなわれており、輸血後の肝炎は激減した。医療事故で感染のおそれのある場合は、すぐに抗HBsヒト免疫グロブリン(HBIG)を投与すれば予防できる。ただし、2003年(平成15)7月にはB型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルス、HIVなどに感染した輸血用血液がチェックをすりぬけ、つかわれてしまっていたことがわかった。この輸血で肝炎に感染したとうたがわれるケースも報告されており、輸血用血液を供給する日本赤十字社や厚生労働省は対応と改善をもとめられた。 母子間感染については、出産時に感染することが多かった。そのため妊娠している女性のHBs抗原を検査し、陽性の場合は生まれた子供へはやいうちにHBIGやワクチンを投与して、子供の感染をふせいでいる。 また、B型ではこれまで、免疫が正常な成人は感染しても慢性化しないとされてきた。しかし、成人でも慢性化しやすい、欧米などに特有のB型肝炎ウイルス(Aタイプという)が性感染で広がっていることが、2002年の各種の調査で明らかになった。
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