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太古に繁殖していた植物が堆積(たいせき)して地中に埋没し、長期間にわたる地熱や地圧の作用によって、炭素分の豊富な可燃性の岩石状の物質となったもの。石油とともに近代文明をささえてきた主要な化石燃料である。現代では燃料としての利用だけでなく、化学工業における各種の有機化学・高分子原料としての利用法が研究・開発されている。
石炭がふくまれるもっとも古い地層は古生代のデボン紀のものだが、欧米などではおもに古生代の石炭紀、中生代の三畳紀、ジュラ紀、白亜紀の地層である。また中国やインドなどのアジア大陸、南アメリカやアフリカの一部では、古生代のペルム紀(二畳紀)の地層から石炭が産出し、日本をふくむ環太平洋地帯では新生代の第三紀に属する地層からも産出する。 石炭の組織中には、植物の細胞や花粉、胞子などのほか、地質時代の植物の化石も発見されることから、石炭が植物から生成したことはまちがいないが、その根源となった植物は地質年代によってことなる。たとえば白亜紀までは種子植物はみられず、トクサやヒカゲノカズラなどの祖先にあたるシダ植物(胞子植物)が中心で、白亜紀後半からしだいにソテツ類、初期の針葉樹(セコイア、メタセコイア、イヌスギなど)、イチョウ類などの裸子植物があらわれ、第三紀以降になると被子植物(ポプラ、ニレ、ケヤキ、カエデなど)が出現する。このような地質時代における植物は、現代よりも高温・多湿で二酸化炭素濃度の高い環境下で、現代とは比較にならないほどの規模と早さで成長し、多くは大木となって大森林を形成したことで、石炭の源になったと考えられる。
石炭の成因は、湿地帯に生育していた植物が枯死・倒壊した場所に堆積して生成したもの(現地性堆積)と、洪水などによって生育地からながされ、湖や海岸などの水中で堆積したもの(流積性堆積)に大別される。いずれにせよ、堆積した植物は、はじめ微生物の作用で分解し、水分や二酸化炭素、メタンなどが遊離して、濃縮された炭素分がのこる。この段階では、まだやわらかい泥炭状である。しかし、この層の上にさらに土砂が堆積し、地中深く埋没するにつれて地中の温度や圧力の影響をうけ、きわめて長い期間にゆっくりと進行する熱分解反応によって炭素分が増加し、固化していく。この過程を石炭化といい、うけた温度の高さとその期間によって石炭化度(炭素含有率)がきまる。→ 炭素循環 ふつう石炭化度は石炭の生成年代が古いほど高くなるが、石炭化の期間が短くても温度が高ければ石炭化度は高くなる。日本の第三紀に生成された石炭が石炭化の期間が短期間でありながら、ヨーロッパの石炭紀に生成された石炭と石炭化度が同程度であるのは、日本では地下のマグマなどの影響で地中温度が高いためだと考えられている。
石炭の分類は、石炭化度、工業分析による発熱量や揮発分、燃料比などを指標として定量的におこなわれるほか、粘結性や石炭生成過程、燃焼特性、形状、用途、産出地や採掘炭坑などによる定性的なものがある。なかでも石炭としての成熟度を評価する石炭化度による分類は基本的なものであり、石炭の性質そのものに着目する方法であるため、ほかの指標や石炭の生成、埋蔵量、分布などと関係が深い。日本では、JIS(日本工業規格)の炭量計算基準(JIS M1002)によって炭素含有率の高い炭質の順に、無煙炭、瀝青炭、亜瀝青炭、褐炭(かったん)に分類する方法がある。 この4分類は、石炭化度、工業分析による発熱量、燃料比の値にほぼ対応しており、炭素量の多い無煙炭ほど発熱量が大きい。このほか、褐炭になる以前の亜炭、寒冷地の植物が湿地帯で堆積してできる泥炭(草炭、ピート)、木質をふくまない燭炭(しょくたん)、地中マグマによる急速な熱分解でできた煽石(せんせき:天然コークス)などがある。
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