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項目構成
14世紀ごろまでに、鉄職人がつくった鉄合金は、今日の基準ではすべて錬鉄(鍛鉄)に分類される。そのような合金は、鍛冶場(かじば)や通風口のある炉で、大量の鉄鉱石と木炭(→ 炭)をもやしてつくられた。この工程で鉄鉱石は、金属の不純物と木炭の灰がかたまった鉱滓(こうさい:→ スラグ)とスポンジ状の金属鉄に変化する。このスポンジ状の鉄は白熱しているうちに炉からとりだされ、大きなハンマーでたたいて、鉱滓をのぞき鍛造する。 こうした条件で製造された鉄には、ふつう鉱滓の粒子が約3%と、ほかの不純物が0.1%ふくまれていた。この製鉄技術により偶然に、鋼ができることもあった。その後、鉄職人は、粘土でつくった入れ物の中で、数日間錬鉄と木炭をもやして鋼をつくるようになった。この操作で、鉄はじゅうぶんに炭素を吸収して、本物の鋼になる。
14~15世紀にかけて、ライン川の中流域で高炉法(→ 高炉)が誕生し、16世紀にはイギリス、フランス、スイスなどに広まった。これは縦に長い炉で、木炭を燃料として下から送風する。高炉が大きくなるにつれ、原料を混合した装入物全体に燃焼によるガスが吸収されるように、通風量をふやすことが必要になり、水車がつかわれた。 大型の炉では、上の鉄鉱石は、はじめに金属鉄に還元され、次に送風されるガスから多くの炭素をとりこんでいく。このような炉からできたのが銑鉄であり、鋼や錬鉄より低い温度で融解する。銑鉄は、鋼をつくるためさらに精錬される。
銑鉄の製造に使用される基本原料は鉄鉱石、コークス、石灰石(→ 石灰岩)である。コークスは、もやされて炉を加熱するとともに一酸化炭素を放出し、その一酸化炭素が鉄鉱石の酸化鉄と反応し金属鉄にかえる。これが高炉内でおこる基本的な化学反応であり、次のような化学反応式であらわされる。
炉の中で、石灰石は一酸化炭素の追加発生源として、また、鉄鉱石の中に存在する不溶解性の二酸化ケイ素と化合して、溶解性のカルシウムケイ酸塩をつくるための溶剤(→ フラックス)としてつかわれる。石灰石がないと鉄ケイ酸塩が生成され、鉄の収量がさがる。カルシウムケイ酸塩とほかの不純物は、炉の上部にうかぶ鉱滓を生成する。高炉で製造された通常の銑鉄には、鉄約92%、炭素3~4%、ケイ素0.5~3%、マンガン0.25~2.5%、リン0.04~2.0%、そのほか微量の硫黄や酸素、窒素がふくまれている。
錬鉄は、強靭(きょうじん)で鍛造できるが、その生産にもちいられたパドル法では多大な手作業を必要としたために大量生産は不可能であった。その後、平炉や転炉が開発され、小さな製造コストで均質な鋼が大量に製造されるようになり、ほぼすべての分野でとってかわられた。
18世紀後半に開発されたパドル法の炉は、低いアーチ形の屋根がつき、原料がおかれるくぼんだ炉床は、石炭がもやされる燃焼室とは1枚の壁でへだてられている。燃焼室の炎はその壁をのりこえアーチ形の屋根に達し、炉床の原料に「反射する」。炉が点火されて適当な温度になると、パドラーとよばれるパドル炉の作業者は、炉床と炉壁に、赤鉄鉱などの酸化鉄をペースト状にしたものをぬって、内壁をつける。次に炉には、300kgほどの銑鉄が装入され、装入口が閉められる。約30分後に鉄が溶解すると、パドラーは原料にさらに酸化鉄をくわえ、まがった鉄の棒で、それを銑鉄とまぜあわせる。この動作がパドルで船をこいでいるようなので、パドル法という。 銑鉄にふくまれていたケイ素とマンガンの大部分は酸化し、硫黄とリンの一部が除去される。それから炉内の温度がわずかに上昇し、炭素は燃焼、酸化してガスとなり、ガスが放出されるにつれ、鉱滓がふくれて分離する。炭素が燃焼してガスとしてぬけてしまうと融点は高くなり、流動性をます。 鉄の純度が高まるにつれ、成分が均一になり粒子がよく結合するように、パドラーは鉄の棒で原料をかきまわす。その結果できあがったスポンジ状の鉄は、ボールとよばれる100kg弱の塊にわけられる。ボールは火箸(ひばし)で炉からかきだされ、すぐに絞り機にかけられる。絞り機では、ボールにまじっているケイ素質のスラグが大部分とりのぞかれ、鉄の粒子が完全に結合する。この状態の鉄を平板に切断したものをつみかさね、加熱して個々の板が接合したところで、それを圧延して1枚の鉄板にする。この圧延工程は錬鉄の品質を高めるため、何度かくりかえされることもある。
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