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食糧や家畜の飼料としてひろく栽培されるイネ科の一年草。トウキビともいう。小麦、米とともに世界の三大穀物のひとつ。
ほかのイネ科の草の茎が空洞なのに対し、トウモロコシの茎は直立して密でかたい。草丈は種によって大きくことなり、矮性(わいせい)種は成長しても60cm以下で、大きくなる種は6m以上にもなる。葉は互生し、長くて細い。主茎の先端には雄性花序すなわち雄花穂(→ 雄花)がつく。穂は小穂(しょうすい)とよばれ、たくさんの小花からなり、小花にはそれぞれ小さな葯(やく)がついていて、そこに雄性配偶子である花粉粒ができる。 雌花穂(→ 雌花)は独特の構造をしていて、穂軸とよばれるかたい核に数千個の小花がつく。穂は、葉が変形した苞葉につつまれている。穂の先端からつきでている絹糸といわれる毛状のものは長くのびた雌蕊(めしべ)の花柱で、それぞれが子房に達している。風ではこばれた花粉は、絹糸の上におちるとそこで芽生え、花柱を下にたどって子房にいたる。受粉した子房は、成長して殻粒となる。
トウモロコシは新大陸原産で、ヨーロッパ人がやってくるまで何世紀もの間、主要穀物だった。起源は謎(なぞ)につつまれているが、考古学的および古植物学的成果によると、アメリカ南西部には少なくとも3000年前にはトウモロコシの栽培種が存在していた。野生のトウモロコシは、かつては7000年前にメキシコ南部のテフアカン渓谷に存在したと考えられていた。しかし最近の研究では、4600年前ごろはじめて渓谷に出現したことが明らかになっている。初期の野生種は、基本的にほとんど現代のトウモロコシと同じ構造をしていた。 日本へは16世紀の後半にポルトガル人によってつたえられ、南蛮船がはこんできたことからナンバンキビとよばれた。江戸時代にはいって栽培はひろがり、とくに水田や畑地が少ない地域で、重要な食糧となっていった。まだ稲作ができなかった北海道では、明治初年に開拓使がおかれ屯田兵が移住したとき、トウモロコシの新種をアメリカから導入して栽培を開始した。それが発達し、重要な農産物となって今日におよんでいる。
トウモロコシには数多くの品種があり、性質も多様である。ある品種は2カ月で成熟するが、11カ月かかる品種もある。葉は淡緑色から濃緑色まであり、それに茶、赤、紫の色素がくわわる場合もある。成熟した穂の長さは、10cmにみたないものから50cmのものまである。殻粒の列も8列から36列余までさまざまである。殻粒の特徴によって、大きく6つの仲間に分類される。 トウモロコシを栽培する世界各地の農場ではデントコーン(馬歯種トウモロコシ)という品種がもっともよく栽培される。殻粒の側面はかたい角状デンプンからなり、冠部はやわらかいデンプンからなる。粒が成熟するにつれてやわらかい部分がちぢみ、特徴的なへこみができる。 フリントコーン(硬粒種トウモロコシ)は、角状デンプンが殻粒の上部すなわち冠部にまでひろがり、したがってへこみはない。低温でも受粉できるため冷涼な気候に適し、またゾウムシに対して抵抗力があるため熱帯にも適する。 ポップコーン(爆裂種トウモロコシ)は世界の子供や若者に人気の高いスナックだが、ひじょうにかたい小さな殻粒をもつフリントコーンの変種である。熱すると殻粒の水分が膨張し、はじけてひらく。 フローアコーン(軟粒種トウモロコシ)は、やわらかく濃度のうすいデンプンを多くふくみ、粉にひきやすい。南アメリカのインカ帝国があった地方でよく栽培されている。 スイートコーン(甘味種トウモロコシ)は、アメリカでは人間が食用する野菜として一般に栽培されている。糖分はほかの種とことなり、生長過程でデンプンにかわらない。成熟するまで放置すると、種子に特徴的なしわがよる。 ポッドコーン(有ふ種トウモロコシ)は食用されることはほとんどなく、観賞用として栽培される。殻粒は1つずつ小型の殻につつまれている。もうひとつの観賞用トウモロコシは一般にインディアンコーンとよばれ、フローアコーンとフリントコーンの色をあわせた多彩な品種である。 日本で、フローアコーン、スイートコーン、ポッドコーンは、ほとんど栽培されていない。
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