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アカサンゴなどは深海でも成長するが、イシサンゴは光のとどく深さでしか生きていけない。イシサンゴは、組織の中にすみついている褐虫藻という直径が10µm(マイクロメートル)ほどの単細胞藻類が光合成をおこなうための光を必要とするからである。イシサンゴはこれらの褐虫藻からエネルギー源である炭水化物をもらっているので、褐虫藻なしでは生きていけない。一方イシサンゴは、褐虫藻に二酸化炭素と老廃物として窒素とリンを供給しており、藻類はこれらをもとに光合成をおこなっている。この両者の関係を共生という。 近年、このイシサンゴに「白化」とよばれる現象がおこり、大きな問題となっている。これは、イシサンゴの組織内から黄褐色の褐虫藻がぬけだし、本来は透明なサンゴの組織をとおして白色の骨格がみえるようになることである。やがてサンゴは死滅してしまい、骨格だけがのこされるが、もろいために崩壊してしまう。この「白化」は、地球温暖化による海水温の上昇や紫外線などが原因だと考えられている。→サンゴ礁の「サンゴ礁の脱色白化現象」
サンゴとは、個々のサンゴ虫、あるいは群体を意味するが、サンゴ礁は、サンゴの石灰質の骨格がつみかさなり、海面近くにまで高まった地形のことである。サンゴ礁は、地球上の生物がつくりだした最大の構造物で、生物の多様性にとんだ、光合成と石灰化という生物の代謝活動が盛んにおこなわれている生態系でもある。サンゴ礁をつくりだすのは造礁サンゴとよばれるイシサンゴの一群で、深海にすむ貴重サンゴ(宝石サンゴ)とは区別される。そのほかにサンゴ礁を構成している生物には、ヒドロサンゴや石灰藻、軟体動物、カイメンなどがある。
宝飾用につかわれる八放サンゴ類は「貴重サンゴ」といい、とくにアカサンゴの骨格は、エーゲ海やアドリア海、イタリア半島南西部、シチリア島、サルデーニャ島など、地中海を採取地として、古代ギリシャ時代から装身具にもちいられた。 珊瑚は真珠とならんで日本を代表する宝石である。日本では3月の誕生石とされ、加工して、指輪、数珠、帯留め、根付(ねつけ:印籠、煙草入、巾着などのひもの先端につけ、すべり止めにする装飾品)、ブローチ、ネックレス、カフスボタン、イヤリングなどにもちいられる。珊瑚は色によって赤色、桃色、白色にわけられるが、その中間色を「ぼけ」とよび、とくに桃色のぼけは珍重された。 珊瑚は仏教の経典の中にも7つの宝のひとつとして出てくる。正倉院には東大寺の大仏開眼式にもちいた珊瑚のついた王冠が所蔵されている。しかし江戸時代までは、珊瑚はシルクロードを通じて中国から日本へつたえられた地中海産の宝石で、この意味で、はじめは「胡渡(こわたり)珊瑚」、のちには「古渡(こわたり)珊瑚」とよばれた。 日本産の珊瑚は、幕末近くになって土佐沖で採取されたが、土佐藩はこれを秘密にしていたので、公然と採取されるようになったのは明治以後である。これを「古渡」に対して「土佐」とよんだ。 明治の末、水産庁の調査によって日本近海にたくさんのサンゴが存在することがわかり、やがて逆にイタリアをはじめ欧米や中国に輸出するようになり、採取地も日本近海から西南太平洋に広がり、台湾とともに世界への供給地になった。 分類:刺胞動物門花虫綱。触手が8本あるサンゴは八放サンゴ亜綱。6本ないし6の倍数の触手をもつサンゴは六放サンゴ亜綱。イシサンゴ類はイシサンゴ目。アカサンゴの学名はCorallium japonicum。
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