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星雲

星雲 せいうん Nebula
百科事典項目
項目構成
I

プロローグ

星間空間に存在している、星間物質とよばれるガスと細かい塵(ちり)の集まり。望遠鏡が発明される以前は、ぼやっとしてみえる天体はすべて星雲とよばれていた。英語名は「雲」という意味のラテン語からきている。現在は、それが星団銀河であることがわかったものも多い。

星雲は、わたしたちの銀河系(天の川)と同様、ほかの銀河にも存在している。星雲は大きくわけて、惑星状星雲、散光星雲、暗黒星雲に分類されるが、超新星残骸(ざんがい)をふくめることもある。散光星雲はさらに反射星雲と発光星雲にわけられる。

おうし座の濃い星間雲の中にみられるハービッグ-ハロー天体は、小さいがひじょうに明るい星雲で、形成途上にある新しい星から噴出されたガスジェット(宇宙ジェット)によってつくられたものと考えられている(原始星)。

II

惑星状星雲

惑星状星雲は、望遠鏡でみたときの外見が惑星に似ているからである。しかし実際には惑星ではなく、年老いた星が白色矮星になる前の進化の終わりである赤色巨星の段階で放出したガスや物質がつくる殻である。大きさは1光年ほどで、中心にある高温の星(白色矮星)から放射される紫外線により星雲の中のガスが電離されるため、ガス中の元素に特有な輝線(→分光学の「スペクトル線」)を放射している。典型的な惑星状星雲は、こと座b星近傍にあるM57環状星雲で、自転周期が13万2900年、質量は太陽の約14倍ある。この星雲のあざやかな赤色や青色はガス中に水素酸素がふくまれていることをしめしている。ほかに数千の惑星状星雲が銀河系内で発見されている。

惑星状星雲は、望遠鏡の分解能が低い時代にはまるい惑星のような形にみえたため、球状もしくは球殻状と考えられていた。しかし、実際には円盤状や楕円状(だえんじょう)、環状などさまざまである。また近年の研究では砂時計のような形をしているものもみつかっている。それは、星の進化の最終段階における質量放出が、球対称ではなく2方向へ双極流におこっているためと考えられている。

1

散光星雲

散光星雲はひじょうに大きく、しばしば何光年にもわたって広がっているが、はっきりした輪郭がなく、うすい雲のような外見をしている。明るいものも暗いものもあり、明るい星雲は近くの星の光によってかがやいている。明るいものではオリオン座の3つ星の南に位置するM42オリオン大星雲が代表的で、ほかにも美しいものがいくつかみられる。

散光星雲の中には巨大な物質の流れがあり、あらあらしく無秩序にまざりあっている。スペクトル観測によって、星雲から放出されているには、星の光を反射するものと、発光星雲のようにイオン化されたガスや塵が発光するものとがあることがわかった。

おうし座のプレヤデス星団は、全体が散光星雲につつまれている。この星雲は自身のガスが発光しているのではなく、星団の明るい星々の光を反射することによるもので、このような散光星雲をとくに反射星雲とよんでいる。これとは逆に、発光星雲では近傍の高温度の星が放射する紫外線によってガス中の水素原子が電離して、みずからが発光している。M42オリオン大星雲も中心にあるトラペジウムという星によってかがやいている。

散光星雲は暗く、あるいはかすかに明るい雲として観測される。近くの星の光を反射するには遠すぎ、また星自体が光をほとんど放出していないためである。銀河系内には、惑星状星雲や散光星雲のように発光せず、後方にある星雲や星をさえぎることで、自身の形を黒くうきあがらせる暗黒星雲とよばれものもある。

III

暗黒星雲

暗黒星雲は何もない空間ではなく、低温のガスや塵でできている。そして、背景の星雲や星の光を吸収・散乱するために暗くみえる。暗黒星雲には1960年代後半から電波望遠鏡を利用してさまざまな星間分子が観測されており、現在では一酸化炭素(CO)やアンモニア(NH3)、メタノール(CH3OH)などの分子が存在することが確認されている。暗黒星雲はさまざまな分子があつまり、新しい星を生みだす場所である。

有名な暗黒星雲のひとつがオリオン座の馬頭星雲で、背景の明るい星雲にうつる黒いシルエットの形からその名前がつけられた。へびつかい座のS字状星雲、南十字星のコールサックなども有名であり、天の川の中の、写真乾板でたしかめられた長く暗い裂け目は、暗黒星雲のつらなったものである。

星の進化の最終段階である惑星状星雲とはちがい、暗黒星雲も明るい散光星雲も、塵の雲が凝縮して新しい星が形成される場所であると考えられている。

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