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幻覚薬は、医療用にはほとんどもちいられていない。おもなものは、1960年代にひろまったLSD、サボテンの一種からとるメスカリン(→ ペヨーテ)などである。LSDをつかうと、孤立感・幸福感をおぼえ、幻覚におそわれ、音がきこえると色があらわれるように感じるなど、感覚がいりまじる状態がおきる。1度つかいだすと、使用量はどんどんふえるが、やめたときの禁断症状はあらわれない。 「エンジェル・ダスト」、「ロケット燃料」などの名前で知られるフェンサイクリジン(PCP)は、1970年代後半にはよくつかわれていた。しかし、現在は獣医師がときおり動物の麻酔や鎮静のためにつかうだけで、人間にはほとんどつかわれない。PCPをつかうと、孤立感をおぼえ、痛みに対する感覚がなくなる。急性の統合失調症に似た症状があらわれ、ときに破壊的な行動をおこすことがある。
タイマの葉・花・枝からつくられるのは、マリファナで、樹脂からつくられるのがハシシである。両方とも煙のかたちにしてすいこむ。作用も似ていて、リラックス感がえられ、時間のたつのがおそく感じられ、聴覚・味覚・触覚・嗅覚(きゅうかく)がするどくなる。車を運転する前にすいこむとたいへん危険である。また、タバコと同じように、肺に損傷がおこる(→ 喫煙)。
接着剤やシンナー、スプレーなどで、医療用の薬ではない。シンナーなどは中枢神経系の活動をおさえ、大量にすいこむと、自分の行動をコントロールできなくなったり、無意識状態になったりする。作用はすぐにあらわれて45分間ほどつづき、その後、頭痛・吐き気・眠気などがおこる。吸入剤は、判断力や思考力をそこなうだけでなく、筋肉や反射神経もそこなう。吸入剤は簡単に手にはいるため、常用していると循環系に障害がおこり、脳や心臓にわるい影響がでる。
薬物乱用者は、専門施設への入院治療がのぞましい。ドラッグの種類にかかわらず、治療の最終目標は、薬をやめさせることである。 治療には2つの方法がある。ひとつは、集団治療で、患者の問題は患者自身に責任をもたせようというものである。この方法は、ドラッグの常用者は精神的におさないため、成長のチャンスをあたえようという考え方にもとづいている。もうひとつは、より依存性の少ない物質をつかって、禁断症状を少しずつなくしながら薬をやめさせようというものである。
麻薬類を習慣的につかうようになると、薬を手にいれるため、また常用や乱用によって、体や精神に障害をきたして、犯罪をおこすことがある。これは、世界各国でも大きな社会問題となっており、法律できびしくとりしまっている。 国連では、1990年に麻薬特別総会を開催し、91年からの10年間を「麻薬撲滅の10年」に決定した。薬物の乱用は、青少年の間にもひろがってきている。好奇心などがきっかけとなって薬物依存へとすすむことが多く、薬物を手にしないことがもっとも大切な予防法となる。現在日本でも、「ダメ。ゼッタイ。」をスローガンに薬物乱用防止の運動が全国で展開されている。 また、麻薬及び向精神薬取締法、あへん法、大麻取締法、覚せい剤取締法によって、麻薬・覚せい剤の取り扱いや使用を規制している。麻薬の使用は医療と学術研究だけにかぎられており、取り扱いも都道府県知事の許可をうけた者にかぎられる。最近は、乱用がみられる向精神薬の取り締まりが強化されている。
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