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    この項目では、土木構造物について記述しています。「ダム」の他の用法については「 ダム (曖昧さ回避) 」をご覧ください。

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ダム

ダム Dam
百科事典項目
項目構成
I

プロローグ

ダムとは、河川などをせきとめて、水をためたり、水位をあげるために建設される構造物のこと。ダムを建設する目的は、(1)川の自然の落差を一定の場所に集中させ、水力によって電気をおこす(水力発電・送配電)、(2)川の流れを灌漑や給水システムなどにふりむける(水道)、(3)船の運航のために水深を深くする(パナマ運河)、(4)洪水や干ばつのときに水の流れをコントロールする(洪水調節)、(5)レクリエーション用の人工湖をつくる、などである。多くのダムは、これらの機能のいくつかをかねそなえている。アメリカ合衆国では、テネシー川流域開発公社の下で開発された一連のダムが、多目的ダムの典型である。

II

古代のダム

記録にのこっている最初のダムは、古代エジプト(→エジプトの「歴史」)の都市メンフィスへ水をひくために、前3000年ごろナイル川に築造されたものである。バビロニア人によって建設されたダムをふくめ、土をもり、しめかためてつくる古代のアースダムは、不毛の土地を豊穣な平野にかえる、灌漑システムの一部であった。定期的な洪水による破壊のため、100年以上にわたって存続した古いダムは、ほとんど残存していない。かなりの高さをもち、貯水量が多くても、決壊しないダムが建設できるようになったのは、ポルトランドセメントの開発(セメントコンクリート)と大型土木機械が発達してからである。

III

近代のダム

ダム建設の技術が飛躍的に発達したのは、19世紀のヨーロッパにおける物理学の進歩(とくに重力式ダムの設計理論の確立)と、動力機関やダイナマイトの発明、土木建設機器の機械化などがあり、くわえてポルトランドセメントの開発や、構造計算(構造力学)、地質調査の精密化などがあげられる。

ダムによって水を調節し、利用することは、広大な地域の経済的発展をうながすうえで大きな影響がある。発展途上国における国土開発の第一歩は、まず発電や農業、洪水防止などの目的で、水を利用することからはじまる。

IV

設計上の考慮

ダムは、水がもれないもので築造されなければならない。漏水があると、水がむだになり、土台が損傷する。ダムは、水圧に対抗できるような方法で建設されなければならない。技術者がダムを設計する際には、ダムを下にひきさげようとする重力、ダムの本体(堤体:つつみたい)の壁にかかる水圧、ダム底面にはたらく上向きの水圧(揚圧力)、さらには地震の影響や地球の力などを考慮しなければならない。

ある場所をダムの建設用地として検討する場合は、地質調査の一環として、地震による被害を考慮しなければならない。また地質学者は、地盤がダムの重さとその背後にかかる水の圧力をささえられる強度をもっているかどうかも判定しなければならない。

不十分な地質調査の結果、深刻な被害をもたらした事例がある。そのもっとも有名な例は、イタリア・アルプスにあるバイオント・ダムでおきた災害である。1960年に完成したバイオント・ダムは、堤高が262mで当時世界1位の堤高をもつアーチダムだったが、63年10月9日に、ダムの背後にある大きな岩山が地すべりをおこして大量の岩や土砂が貯水池におち、コンクリート・アーチ式ダムをこえて水があふれだし、2000人以上の命がうばわれた。この高さから落下する巨大な水のかたまりは、数キロメートルもはなれた下流の町を一瞬にしてのみこむほどの力をもっていた。この事例は、地質調査や水圧試験の不備をしめしている。いろいろな原因で岩石崩壊がおこるが、急勾配(こうばい)で不安定な岩石の斜面が、ダムの水によって浸食されることが大きな原因となる。なお、バイオント・ダムはこの事故後、ダムとしては放棄された。

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