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ダム

ダム Dam
百科事典項目
項目構成
1

重力ダム

コンクリート重力ダムは、堅固なコンクリート構造で、基底部に近いほど壁が厚く、頂上にむかってうすくなる。重力ダムの断面形状は、底面の厚い三角形をしており、上流の壁はほぼ垂直で、下流面が勾配をもっている。ダムにかかる水圧をダム自身の重量によってささえている形式のダムで、堤体の材料がコンクリートであるダムをコンクリート重力ダム、あるいは、たんに重力ダムという。

この種のダムは、基本的に、ダム自体の重さで安定をたもっている。重力ダムほど恒久性があり、維持費のかからないダムはほかにない。ダムの高さは、一般的に、基盤の強さによって制限される。重量が重いので、高さ20m以上の重力ダムは、強い岩盤の上に建設されるのがふつうである。

1961年に完成したスイスのグランド・ディクサーンス・ダムは、高さが285mもあり、世界でもっとも高いダムのひとつである。このダムは、堅固な岩盤の上に建設され、700mの長さをもつコンクリート重力構造のダムである。1942年に完成した、アメリカ合衆国ワシントン州のコロンビア川につくられたグランド・クーリー・ダムは、巨大な重力ダムの代表例である。このダムは、高さが168m、第3発電所をふくめた長さは1592m、体積も915万5944m³にもなる。

重力ダムは、日本でも広くとりいれられている大規模ダムであり、奥只見佐久間、小河内(おごうち:奥多摩湖)、田子倉(只見川)など多数ある。

2

アーチダム

このダムは、アーチ式のと同じ力学構造を採用している。水の流れにむかって弓形にはりだし、水の荷重の大部分は、ダムにそって、狭い渓谷の側壁に分散される。両側および基礎の岩盤が、良質で強硬でなければ建設できない。材料はコンクリートで、V字形のにかかるので、水平断面はほぼ円弧に近く、下部になるほど幅が狭くなる。そのためダム全体は円筒形ではなく、曲率半径が2つ以上ある曲面となる。ダムの厚さが重力ダムにくらべてかなりうすく、コンクリートの所要量は少なくなる。

好条件がそろえば、アーチダムは、重力ダムよりも少ないコンクリートで建設できる。しかし、このダムに適した場所は少ない。1611年にイタリアに建設されたポンテ・アルト・ダムは、最初に建設されたアーチダムである。なお現在、堤高が世界でもっとも高いアーチダムは1980年完成のグルジアのイングリ・ダム(堤高272m)である。

アメリカでもっとも高いアーチダムは、アリゾナ州のコロラド川にかけられたグレンキャニオン・ダムである。このダムは、1964年に完成したが、高さが216m、長さが475mある。アメリカでもっとも高いアーチ重力式ダムは、やはりコロラド川の、アリゾナ州とネバダ州の境界にそって建設されたフーバー・ダムである。このダムは35年に完成したが、高さが221m、長さが379mある。

この形式は、外国には多いが、日本の場合は地震が多く、適当な地盤が少ないため、大規模なものはつくられなかった。1955年(昭和30年)に、最初の大規模なアーチダムとして、上椎葉(かみしいば)ダム(宮崎県椎葉村)が竣工(しゅんこう)した。

3

中空重力ダム

内部に空洞をもうけた重力ダム。断面形状が約60°の傾斜をもつ二等辺三角形のコンクリートブロックをつなぎあわせてつくる。中が空洞なので揚圧力が少なくてすむのと、コンクリートの量が大幅に節約できる利点がある。イタリアで発達した形式のダムで、日本では1957年に竣工した大井川の井川ダム(静岡県静岡市)が最初である。

4

バットレスダム

バットレスとは建築用語で内部からささえている控壁(こうへき)、扶壁(ふへき)の意味なので、扶壁ダムともいう。貯水の圧力を鉄筋コンクリートの厚板またはアーチでうけ、それをバットレスによってささえ基礎地盤に伝達させる構造のダムである。中空だが、中空重力ダムとちがい、扶壁をくみあわせることによって、強度をもたせている。またこのダムは、地盤が軟弱な場所では、同じ大きさの重力ダムでつかうコンクリートの35~50%の量しか必要とせず、堤体を軽くできる利点がある。しかし複雑な成形作業と鉄筋をうめこむコストが、建設資材の節約分を相殺してしまう。

アメリカ最初のバットレスダムは、1903年に、ニューヨーク州のテレサで建設された。68年にカナダ・ケベック州のマニクアガン川にかけられたダニエル・ジョンソン・ダムは、巨大なバットレスダムで、長さが1306m、高さが214mで、この形式では世界でも高いダムのひとつである。構造が複雑で、施工がむずかしいことから日本ではあまりつくられず、堤の高さが32.1mの丸沼ダム(群馬県片品村。1931年竣工)が最大である。

IX

エンバンクメントダムの形式

築堤式のエンバンクメントダムは、もっとも一般的につかわれる構造で、その中にはアースダムやロックフィルダムなどがある。アースダムやロックフィルダムは、作業工程上、土や岩石など自然の材料を使用するので、建設現場の近くに利用できる材料があるかどうかが、この形式のダムを選択する際の大きな要因となる。

大型の建設用機材の発達によって、エンバンクメントダムは、コスト的に、コンクリートダムに対抗できるようになった。断面が台形のゆるい傾斜でもって堤体を安定させるために、この形式のダムの基礎は、高さの4~7倍の広がりをもっている。したがって、地盤のそれほどよくないところでも築造が可能である。エジプトのアスワン・ハイ・ダムはロックフィルダムで、幅が1000mあり、213mもの深さの砂や砂利の上に建設されている。

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