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生命をあつかう科学。この言葉は、1800年にドイツではじめてもちいられ、フランスの植物学者ラマルクが、増大しつつあった生命体の研究に関連する専門分野を、ひとくくりにする用語として使用してから(1802)、一般的な言葉となった。生物学の概念は、大きな影響力をもつ教育者でもあったイギリスの生物学者トマス・ハクスリーの働きかけもあって統一されていった。ハクスリーは、従来のように動物学と植物学をわけることは知的興味の点からは無意味であり、あらゆる生き物を統合して研究すべきだと主張した。 ハクスリーの方針は、今日でも意味をうしなっていない。今では、研究者は多くの下等な生物は植物でも動物でもないとみとめているからである(→ モネラ:原生生物)。しかしながら、科学の境界をみさだめるのはむずかしく、生物学の範囲が歳月とともにかわってきたように、主題とする分野がかわり、再編成がつづけられる。今日の生物学は、分子、細胞、生物個体、生物集団といった段階に応じて区分けされている。
分子生物学は、生物物理学と生化学にまたがる分野であり、今日の生物学の基礎をなすものである。現在では、生体をかたちづくっている基本的な分子である核酸とタンパク質の構造や働きの大部分が明らかにされている。遺伝の仕組みを発見したことは、現代の科学においても大きな前進だった。また、分子がどのように代謝をおこなっているか、いいかえれば生命を維持するのに必要なエネルギーをどのように変換処理しているかを解明するという点でも大きな成果をあげている。
細胞生物学は、分子生物学と密接なつながりをもっている。生き物の構造の基本単位である細胞の働きを解明するために、細胞の構成要素を分子レベルで研究する。多細胞生物の生体機能も、その生物を構成する細胞の活動や相互作用によって左右されるので、生体生物学が細胞生物学とかかわってくる。生体の研究には、成長と発生を研究する発生生物学や生体の機能を研究する生理学もふくまれる。とくに重要なのが、脳と神経系をしらべる神経生理学と動物の行動を研究する動物行動学である。
集団生物学は、生物学の大きな分野として1970年代に確立している。この分野の根幹をなすのは進化生物学で、ダーウィンの業績が大きくみとめられることになった。生物集団の中の遺伝子の変化を研究する集団遺伝学と、自然環境のもとで個体群を研究する生態学は、30年代にうちたてられた研究分野である。 この2つの分野がむすびついて、たんに集団生物学ともよばれる研究分野をかたちづくって、急速に発展している。これは、動物行動の研究の中でも、動物の個体群の社会行動に遺伝がはたす役割を中心にとりあつかう、新しく発展してきた社会生物学と密接にむすびついている。
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