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物質を構成する最小の単位であり、ふつう直径が10-13cmから10-16cmの粒子をいう。素粒子や素粒子間の相互作用を研究する素粒子物理学がまたの名を高エネルギー物理学ともよばれるのは、不確定性原理がしめすように、こうしたきわめて小さいものの物理現象のエネルギーがひじょうに高いからである(→ 量子論)。素粒子という言葉は、物質の構成要素がこれ以上分割することができないと考えてつけられた。研究がすすむにつれ、前に素粒子とよばれていた粒子の中には、今では複雑な構造をしているとわかっているものもあるが、そのまま素粒子とよんでいる場合もある。
粒子物理学は、物質のより小さい構成要素を探求するところからはじまった。20世紀以前は塊としての物質、目にみえる物質の性質が研究された。19世紀末には、分子や原子の物理学が発達した。原子や分子の大きさはおおむね10-8cmであり、その構造の研究のおかげで1925~30年の間に量子論という大きな成果が生みだされた。 1930年代の初めには、原子核の構造の研究がはじまった。原子核の大きさはおおむね10-12~10-13cmである。原子核の研究についての知識は、原子力発電や、原子爆弾や水素爆弾に応用されるほどに発達した(→ 核エネルギー:核兵器)。第2次世界大戦後になると、原子核の基本構造を理解するには、素粒子の構造を研究することが必要であると認識されるようになった。
粒子はさまざまな性質によって区別され、現在では数百種の素粒子が知られている。大きくは4種類のグループに分類され、ゲージ粒子(力を伝達する粒子)、レプトン、クォーク、ハドロンである(付表の代表的な分類リスト「素粒子表」参照)。ただし、ハドロンはじつはクォーク複数個が結合してできた複合粒子であり、厳密な意味では「素」粒子ではない。 原子核を構成している基本的な成分は陽子と中性子であり、原子核の周りを電子がまわって原子となる。光子は電波、可視光線、X線などの電磁波の基本単位をなす粒子である。中性子は孤立した粒子としては不安定であり、平均917秒の寿命で崩壊する。しかし、陽子と結合して酸素16とか鉄56といった原子核を形成すると、安定する。 電子、光子、陽子、中性子以外の素粒子は、1945年以後に宇宙線の分析や高エネルギー加速器をつかった実験によって発見された(→ 加速器)。重力を伝達するグラビトン(重力子)などのように、存在が予言されてはいるがまだ発見されていないものもある。 1928年、イギリスの物理学者ポール・ディラックは、すべての素粒子には反粒子とよばれる別のタイプの粒子があることを理論的に予言した。32年、アメリカの物理学者カール・アンダーソンは電子の反粒子を発見し、陽電子(ポジトロン)と名づけた。反陽子は、55年アメリカの物理学者オーエン・チェンバレンとエミリオ・セグレによって発見された。光子のような素粒子は、自分自身が反粒子でもある。物理学者はふつう、反粒子には粒子の記号の上にバーをつけて表記する。 粒子は、スピンつまり角運動量によってボソン(ボース粒子)とフェルミオン(フェルミ粒子)に分類される。ボソンは、プランク定数hを2pで割ったものの整数倍のスピンをもっており、フェルミオンは、同じ定数の半整数倍のスピンをもっている。
素粒子は相互に力をおよぼしあい、たえず生成したり消滅したりしている。これは相互作用とよばれる。素粒子の相互作用として現在、4種類が知られている。
それぞれの相互作用は、特定の種類のボソンを交換することによっておこなわれる。強い相互作用はもっとも強く、クォークを結合して核子(陽子と中性子)を形成する力である。この相互作用はグルーオンの交換によって生じる(→ 量子色力学)。 次に強力なのは電磁相互作用であり、原子や分子で電子を原子核に結合させる力となる。この相互作用は光子を交換しておこなわれる。化学反応とは、電子を原子核に結合するこの電磁的結合の転換を意味している(→ 化学反応)。 いわゆる弱い相互作用は原子核の放射性崩壊における相互作用で、これはボソンW+、W-、あるいはZ0の交換によっておこなわれる。原子核の放射性崩壊は1896年にフランスの物理学者・化学者アントワーヌ・ベクレルがウランからの放射線、98年にキュリー夫妻はラジウム、ポロニウムからの放射線を観察し、そろってノーベル賞を受賞している。 物質の重力相互作用は、素粒子の相互作用の中でもっとも弱いものであるが、大きな規模の現象において重要である。この相互作用は理論上ではグラビトンの交換によっておこなわれるとされるが、グラビトンの存在はまだ実験で証明されていない。
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