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項目構成
パリティ不変性(パリティ保存則)は4つの相互作用のすべてに観察されると思われていた。しかし、1956年、中国の物理学者のT.D.リー(李政道)とC.N.ヤン(楊振寧)は、弱い相互作用は左巻き状態にだけはたらくと考えられることをしめした(→ パリティ)。左巻き状態とは、粒子が動く方向とスピンの方向が反平行になっている状態である。 → 小林・益川理論
素粒子の相互作用の力学は、ニュートンの運動の3法則の運動方程式にしたがう。ニュートン力学においては、エネルギー、運動量、角運動量が保存されるとする。素粒子の相互作用においてもこの保存則はそのまま有効であるが、さらに別の保存の法則が発見されており、原子核や素粒子の構造と相互作用で重要な役割を演じる。
20世紀までの物理学では、対称性の原理というのは流体力学と結晶学(→ 結晶)でもちいられるだけであった。1925年以降、原子や原子の振る舞いについて量子論が発展するにつれて、対称性をとりいれることによって、原子状態をあらわす量子数や原子状態間の遷移を支配する選択規則がみちびきだされた。 粒子物理学における対称性の原理では、空間的な鏡像対称、空間反転、すなわちパリティ(P)保存則、時間の反転対称(T)、荷電の共役変換(C)が重要である。空間反転とは、空間座標の座標軸の向きがかわることをいう。3つの空間座標x、y、zについて、符号がかわるなら-、かわらないなら+とすることをパリティ(同値性、偶奇性)といい、座標軸の左右どちらであっても粒子の物理現象そのものは同じで、パリティは時間とともに変化することはない。時間反転とは、空間座標はかえずに時間軸の向きを変換することである。
素粒子の分類は、量子数にもとづいていた。したがって対称性の考えと切りはなすことのできないものであった。アメリカの物理学者マレー・ゲル・マンとジョージ・ツワイクは1964年、それぞれ独立に、3種類のクォークとその反粒子が存在することを提唱し、バリオンと中間子はクォークでできていると説明した。当時はアップクォーク、ダウンクォーク、ストレンジクォークの3種類が考えられていたが、対称性から4番めのクォークの必要性が認識されていた。74年には予言どおり、チャームクォークと反チャームクォークの複合粒子であるJ/Ψ粒子(ジェープサイ粒子)が発見された。それ以来、バリオンと中間子のクォーク模型の正しさをしめす証拠がつみ重ねられてきている。素粒子の標準モデル理論では、6種類のクォークの存在を仮定したが、すべてが実験的に確認されている。
19世紀半ば以前は、相互作用は距離をへだてて作用すると考えられていた。イギリスの科学者マイケル・ファラデーは、ある物体が他の物体におよぼす相互作用は、場をとおして伝達されるという考えをはじめて提唱した。スコットランドの物理学者ジェームズ・マクスウェルはファラデーの考えを数式にあらわし、マクスウェルの方程式とよばれる方程式の形に電磁場の理論をまとめた(→電磁気学の「マクスウェルの方程式と電磁場」)。1916年、アルバート・アインシュタインは重力相互作用の理論(一般相対性理論)を発表し、それが2つめの場の理論となった(→ 相対性理論)。アインシュタインはこの2つを統一的に記述する統一場の理論を構築しようとしたがはたせなかった。当時はのこる2つ、つまり強い相互作用と弱い相互作用は知られていなかった。 量子力学の発展とともに、1930~40年代に場の理論は困難に直面した。困難というのは、量子力学的計算においては、粒子間の距離がひじょうに近いような状態まで確率的な和をとらなければいけないということに起因する。素粒子の自己エネルギーなどを計算すると、計算の中に無限に近い距離でのエネルギーまで入ってくるために値が発散してしまい、うまく結果がえられないのである。これは発散問題とよばれる。困難を部分的に克服するために、日本の物理学者の朝永振一郎をはじめ、アメリカの物理学者ジュリアン・シュウィンガー、リチャード・ファインマン、イギリス生まれのアメリカの物理学者フリーマン・ダイソンらも47~49年にかけて「くりこみ理論」とよばれる方法を開発した。くりこみ理論は、無限大に発散してしまう電子の質量と電荷が有限であるように、量子力学的効果を計算する前の質量や電荷(それぞれ「裸の質量」「裸の電荷」とよばれる)を逆符号の無限大とおき、結果としてえられる値が実測値に一致するようにするもので、これをもちいることにより、実際的な計算結果が出せるようになった。しかし、数学的に厳密に考えると、無限大引く無限大で有限部分をのこすような計算には意味がないという批判もあり、このような立場からは場の理論の基礎は不完全なままであるといえる。
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