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反応性の高い非金属元素で、かつては、燐という表記もつかわれた。工業的に広い用途がある。生物にとって、必要不可欠の元素でもある。 1669年、ドイツの錬金術師H.ブラントが発見した。銀から金をつくりだそうとする実験の途中で、尿を加熱した際に、リンをえた。空気中で発光する性質があることから、元素名は光をはこぶものを意味するギリシャ語phosphorosからとられた。
多数の同素体が存在する。おもな同素体は白リン、紫リン、黒リンの3種である。白リンはろう状の透明な固体。日光にさらされて淡黄色に変色したものは黄リンとよばれる。暗い所で青白いリン光(燐光)をはなつ。白リンはもっとも反応性が高く、空気中で50°Cをこえると発火する。湿気のある空気中で徐々に酸化される。水にとけないが、ベンゼンにとけ、二硫化炭素CS2にはひじょうによくとける。白リンを保存する場合は、保存容器内を水でみたし、空気を遮断しなければならない。白リンは猛毒で、わずか0.1g程度でさえ致死量となる。工業的な白リンの生産は、リン鉱石、ケイ砂、コークスの混合物を電気炉でとかし、発生するリンの蒸気を凝縮させる方法でおこなわれる。 白リンを鉛容器にいれて空気を遮断し、500°Cで加熱して容器ごととかしたのちに冷却すると、暗赤紫色の紫リンが結晶となって析出する。また、白リンを300°C程度で長時間、密閉容器内で加熱した場合には赤リンがえられる。赤リンは、白リンと紫リンがいりまじったものと考えられている。紫リン、赤リンともに反応性は白リンよりも低い。毒性はなく、暗い所でリン光を発することもない。 白リンを高圧下で200°Cに加熱すると、灰黒色で金属光沢のある黒リンの結晶となる。リンの同素体の多くは伝導性をもたないが、黒リンは熱の良導体、電気の半導体である。黒リンは化学的にもっとも安定で、二硫化炭素にとけず、リン光を発することもない。 リンはハロゲンとも直接反応し、各種のハロゲン化物を形成する。1000°C以上の温度では、硫黄とも直接反応して、さまざまな硫化物をつくる。反応性の高い白リンからは、水素化リン(ホスフィン)PH3などの水素化物を生成することができる。水素化リンは猛毒で、強い還元作用をもつ。 天然には単体として存在せず、大部分はリン灰石などのリン酸塩鉱物として産出する。リンは生物の活動に大きくかかわる元素でもあり、細胞内の核酸、細胞膜を構成するリン脂質、骨の主成分となるリン酸カルシウム、および各種のタンパク質として、生物体の重要な構成要素をなしている。土中や湖沼の水にふくまれる微量のリン酸は、植物の栄養素として重要な働きをする。
リンの同素体の中でもっとも重要なものは、白リンである。リン鉱石から大量に生産され、リン酸、リン酸塩、ハロゲン化リンなど、各種のリン化合物の原料となる。リン酸塩の大部分はリン酸肥料としてつかわれるが、食品添加剤、洗浄剤としての用途もある。三塩化リンPCl3などのハロゲン化リンは、有機化合物の合成に利用される。毒性の強い白リンは、かつては殺鼡(さっそ)剤として使用された。赤リンはマッチ箱の側面などの摩擦面につかわれるほか、リン青銅などの合金製造に使用される。 ガリウムとの化合物は、半導体として発光ダイオード(LED)につかわれる。 元素記号P。原子番号15。原子量30.973762。周期表(→ 周期律)の15族に属する。白リンの融点44.1°C、沸点280.5°C、密度1.82g/cm³。紫リンの融点589.5°C(43.1気圧)、沸点416°C(昇華)、密度2.34g/cm³。黒リンの融点と沸点587.5°C。密度2.69g/cm³。 →栄養の「無機質(ミネラル)」
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