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トウカエデは中国原産で18世紀初頭に渡来し、樹勢が強いので街路樹、庭木、公園樹としてよく植えられているほか、盆栽も多い。変種のミヤサマカエデ(タイワントウカエデ、マルバカエデ)は葉が分裂しないか、浅く2~3裂し、庭木、盆栽にされる。このほか、北アメリカ原産でカナダの国旗の図案にもなっているサトウカエデ、同じく北アメリカ原産のネグンドカエデ(トネリコバノカエデ)とギンカエデ、ヨーロッパに分布するノルウェーカエデ(ヨーロッパカエデ)などが、日本でよく植えられている。
カエデの園芸熱は江戸時代の元禄年間に盛んになり、以後明治時代まで多数の品種がつくりだされた(→ 品種改良「交配」)。1882年(明治15)に東京でつくられた名鑑には202品種が記載されている。太平洋戦争で多くの品種がうしなわれたが、戦後、おもなものは復活した。園芸品種の多くは、自生種の中でも紅葉がうつくしいイロハモミジ、オオモミジ、ヤマモミジの3種から生まれている。 母種の系統ごとに紹介すると、イロハモミジ系の園芸品種には、青崖(せいがい)、限り錦、旭鶴、八房、日笠山、清姫、鬱金(うこん)などがある。 オオモミジ系には、野村、大盃(おおさかずき)、猖々(しょうじょう)、爪紅(つまべに)、七夕(たなばた)などがある。 ヤマモミジ系には、手向山(たむけやま)、稲葉枝垂(いなばしだれ)、青枝垂(あおしだれ)、爪柿(つまがき)、鴫立沢(しぎたつさわ)などがある。 ハウチワカエデ系には、舞孔雀(まいくじゃく)、衣笠山(きぬがさやま)などがある。外来のトウカエデからも、通天(つうてん)、東洋錦などの品種が生みだされている。
観賞用に栽培されるほかに、材は建築、家具、器具などにつかわれ、とくにイタヤカエデ、サトウカエデ、セイヨウカジカエデの材は優秀で、漆器の木地やバイオリンなどの楽器にもちいる。サトウカエデなど樹液から砂糖やメープルシロップをつくる種類もある。民間薬として、メグスリノキやハナノキの樹皮を煎じて洗眼薬につかう。
カエデの名所は各地にあるが、とくに昔から知られているのは奈良県の竜田川で、ここには1万本をこえるカエデが植えられている。国指定の天然記念物としては楓谷(かえでだに)のヤマモミジ樹林(岐阜県美濃市)、中釜戸(なかかまど)のシダレモミジ(福島県いわき市)、萬徳寺の大ヤマモミジ(福井県小浜市)がある。 保護上、重要なのはハナノキで、カエデ属のこの高木は、地質時代(→ 地質学:古生物学)に地球上にひろく生えていたが、現在はかぎられた地域にしか自生していない遺存種である。長野、岐阜、愛知にのこる自生地6件と、滋賀、岐阜両県の巨木、老木3件が、天然記念物の指定をうけて保護されている。
木本性の双子葉植物で、おもに北半球の温帯に分布する。2属約160種がふくまれる。カエデ属が大部分で、キンセンセキ属は2種が中国中部~南部にのみ自生している。 分類:カエデ科カエデ属。イロハモミジの学名はAcer palmatum。オオモミジはA. palmatum var.amoenum。ヤマモミジはA. palmatum var.matsumurae。ハウチワカエデはA. japonicum。イタヤカエデはA. mono。ウリハダカエデはA. rufinerve。ミネカエデはA. tschonoskii。コミネカエデはA. micranthum。ハナノキはA. pycnanthum。サトウカエデはA. saccharum。ヨーロッパカエデはA. platanoides。
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