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コムギの穀粒を製粉した食品。英語のフラワー flourは小麦粉だけでなく、ライムギ、ソバ、米、トウモロコシ、ジャガイモを製粉したものもふくむ。しかし、とくに断りがない場合には、コムギからできる穀粉をさす。 小麦粉の70~75%はデンプンだが、とくに重要な成分は8~12%を占めるタンパク質である。タンパク質の主要成分はグリアジンとグルテニンで、これらは水を吸収して粘りのあるグルテンとなる。
穀類は古くから、人類にとって重要な食物だった。はじめは製粉も調理もされずに食されていた。コムギの製粉が記録に登場するのは、古代エジプト時代からである。初期の製粉は、乳鉢と乳棒をつかって粗挽(あらび)きするものだった。ごく初期の製粉用具である石臼(いしうす)は、凹凸のある2つの石の面をつかって穀粒をすりつぶすものである。その後、製粉の自動化がすすみ、1870年ごろアメリカでロール製粉機が実用化された。 製粉は、まず穀粒の精選からおこなわれる。ふつう、製粉機にいれられる前のコムギには、藁(わら)や籾(もみ)殻、小石、土、さまざまな種子などが混入しているため、最初に篩(ふるい)にかけて大きな異物をとりのぞく。しかし、穀粒と同程度の大きさの異物を除去するには、円筒分離機と、さまざまな大きさの穴があいたディスク・セパレーターをつかう。同時に穀粒を大きさによって分別し、次に研磨機で穀粒の汚れをこすりおとす。皮部をとりのぞくときは、水分をふくませると容易になる。これは調質とよばれ、穀粒の粉砕の準備としては最後の工程である。 小麦製粉は、コムギを粉砕してふるいわけ、養分がたくわえられている胚乳部だけをとりわける。穀粒は波型のついたローラーによってしだいに粉状になり、最終的には胚乳部だけをあつめた小麦粉と、胚乳の断片や細かい粒子のついた皮部の断片である粗挽き粉、皮部のくずで家畜のえさやシリアルなどの材料としてもつかわれる、ふすまにわかれる。 漂白していない小麦粉が黄色がかっているのは、ビタミンA(→ ビタミン)の合成により、微量のカロテン(カロチン)色素がふくまれるからである。漂白がおこなわれる場合には、日本では、おもに過酸化ベンゾイルや過酸化チッ素などが使用されている。使用量は小麦粉の量の100万分の10~20くらいであり、微量で無害だとされるが、使用は今も論議の的となっている。
製粉のおわった小麦粉は、いくつかの種類と等級にわけられる。日本ではその種類は4つだが、それは原料となるコムギの性質によってきまる。原料コムギはタンパク質(グルテン)の含有量の多い硬質コムギと、グルテンが少なくデンプンの多い軟質コムギがある。 グルテンの多い硬質コムギの粉は強力粉(きょうりきこ:グルテン量約12%以上)、準強力粉(同11%前後)、グルテンの少ない軟質コムギの粉は薄力粉(はくりきこ:同約8.5%以下)、その中間の粉は中力粉(同9%前後)とよばれ、それぞれ用途もことなる。強力粉(準強力粉)は粘りが強いのでパンやマカロニ、麩、中華まんじゅうなどに、中力粉はうどんやそうめんなどの麺類に、粘りの弱い薄力粉はケーキなどの菓子類やテンプラなどに利用される。スパゲティなどのパスタにつかわれるセモリナとよばれる粉は、粗挽き粉のことで、デュラムコムギからつくられる。 等級は、製粉時の外皮部の混入度合い(灰分含有量)できめられ、灰分量の少ないものから1等粉、2等粉、3等粉、末粉とよばれる。
コムギは日本でも、弥生時代からなんらかのかたちで利用されてきた。奈良時代には、麺類や唐菓子が中国から伝来しており、平安時代にはいるとしだいにコムギの国内生産量がふえ、うどんやそうめんなどがつくられはじめる。南蛮菓子がもたらされると、カステラなどの製造もおこなわれた(→ 南蛮文化)。パンもはいってきたが、一般に普及するのは明治以降である。 明治期まで水車による石臼製粉がおこなわれたが、精製技術が低く、粉の色も黄色がかって粒子もあらかった。おもにうどんに利用されたため、「うどん粉」とよばれた。いっぽう、明治初期に輸入されたアメリカ製の小麦粉は、機械製粉で品質もよく色も白かったので、「うどん粉」と区別して「メリケン粉」とよばれた。 現在、日本は小麦粉の消費量の約9割を輸入にたよっている。
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