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カナダ

カナダ Canada
百科事典項目
マルチメディア
アメリカ大陸への人類の移住アメリカ大陸への人類の移住
項目構成
1

酸性雨

近年、海洋漁場での漁業権をめぐって、スペインやアメリカとの間で論争がつづいている。またブリティッシュコロンビア州の山岳地帯をはじめ、いろいろな地域で、森林からの木材の切り出しがすすんでいるため皆伐地が広がりつつある。その結果、地すべりなどが発生し、地域によっては土壌の浸食が進行して、サケの生息地に打撃をあたえている。さらに、都市部では自動車による大気汚染が深刻化している。しかし、カナダのもっとも深刻な環境問題は酸性雨である。そのほとんどは、隣国アメリカの工業活動に起因するもので、とくに金属精練や、発電のための石炭燃焼が大きな原因になっている。

酸性雨は、樹木の生命力を弱め枯死させるばかりでなく、河川や湖沼、地下水を汚染し、酸性化する。カナダ全土が酸性雨の重大な影響をうけており、1970年代半ば以降、とくに東部諸州などで深刻な被害が報告された。85年、カナダはヘルシンキ議定書に署名し、大気汚染物質を80年のレベルから30%削減する義務を負うことになった。その後、「酸性雨抑制プログラム」を実施した地域では、原因となる汚染物質の削減がすすんだ。

1981~94年に、オンタリオ、ケベック両州、および大西洋沿岸地域の202の湖沼を対象に実施された調査では、水質の酸性化が現状維持または改善されているという傾向がみられた。ただし、一部の湖沼はいまだに改善されていない。

2

生態系の損傷

ここ数十年、カナダ全土で動植物の生息地は大きくうしなわれつつある。1980~90年の10年間だけでも、合計23%の湿地帯が消滅したことをふくめ、もともとあった湿地帯の80%がうしなわれてしまった。また、一面に背の高い草におおわれたプレーリーとよばれる大草原、オンタリオ州南部の森林、大西洋沿岸州アカディア地方の森林、西部大西洋岸の多雨林はほぼ壊滅に近い状態にある。現在のカナダには、かつて生育していた森林のわずか10%ほどがのこされているだけである。

連邦政府は、自動車の代替となる交通手段の開発、資源のリサイクル、野生動植物の保護や生息地の復元などを地域レベルですすめるため、地方政府に補助金を出すなどして積極的な活動をつづけている。絶滅危惧種については、カナダ絶滅危惧種保護法や州ごとの同様の法律によって保護政策がとられている。だが、これらの努力にもかかわらず、生物多様性は危機に直面している。たとえばアルバータ州では、野生動植物のうち、危機にさらされていないと推測される種はわずか10%にすぎない。

カナダは、1992年に調印された国際連合の生物多様性条約を先進工業国の中でいちはやく批准し、その後、国内でも生物多様性を維持するための独自案をうちだした。政府は資源節約の重要性を強調するとともに、自然保護をすすめるための優遇措置を導入し、法整備につとめている。さらにチリとの間で環境保護のための国際協定がとりかわすなど、各国との協力もすすめている。

VII

政治

カナダでは「1982年憲法」にしたがって政治がおこなわれている。この憲法が成立する以前は、1867年にイギリスで制定されたイギリス領北アメリカ法を改称した「1867年憲法」にもとづいており、憲法改正などにはイギリス議会の承認が必要であった。カナダは連邦国家であり、連邦政府と州政府が機能と権限を分担している。「1867年憲法」では、連邦政府が州に対して大きな権限をもっていたが、その後の修正と現実的対応によって、州政府の権限がしだいに拡大してきた。現在でも連邦政府と州政府との間には、権限と機能の分担についての確執がある。

1982年に憲法で明文化された「権利と自由の章典」によって、憲法の修正がすべてカナダでなされることを規定するなど、カナダ国民の基本的人権が保障されるようになった。この章典は、基本的自由(信教、表現など)、民主的権利(選挙および被選挙)、移動の自由、法的権利、平等権、言語に関する権利を保障している。

1

連邦政府

州政府の権限に規定されていない事項は、すべて連邦政府の権限に属している。連邦政府が管轄する事項は、国債や通貨の管理、一般の課税、国防、財政、銀行、漁業、商業、海運と航空、エネルギー政策、農業、郵便、国勢調査、統計、特許、著作権、帰化、居留外国人、先住民、結婚、離婚などである。州政府の権限に属する機能は、教育、保健、州における財産と公民権、州税の賦課、州内の商業の規制、借款などである。移民などのように連邦政府と州政府の共同管轄事項もある。

カナダはイギリス国王を元首とする立憲君主制の連邦国家で、イギリス国王の代理者である総督が連邦政府の名目上の長である。総督は、カナダ首相の推薦によってイギリス国王から任命される。実際の政府の長である首相は、下院第1党の党首が選任され、首相は内閣を組織する。首相と閣僚は、形式的には総督の任命によって就任する。内閣は30~40名ほどの閣僚から構成されており、そのほとんどが連邦政府の行政機関を統括する大臣となる。

2

連邦議会

カナダ連邦議会は上院と下院の二院制である。上院議員は首相の助言によって総督が任命し、任期は75歳までである。上院の議席数は105で、ニューファンドランド・ラブラドル州から6名、ノバスコシア州とニューブランズウィック州から各10名、プリンスエドワードアイランド州から4名、ケベック州とオンタリオ州から各24名、マニトバ州、サスカチュワン州、アルバータ州、ブリティッシュコロンビア州から各6名、ノースウェスト準州とユーコン準州、ヌナバット準州から各1名の議席で構成されている。

下院議員は普通選挙によって、308の選挙区から1名ずつ選出される。選挙区の人口が平均で約10万人になるように、各選挙区は人口の変動に応じて定期的に調整される。下院議員の任期は5年だが、ほぼ4年ごとに解散総選挙がおこなわれている。法案は下院での審議ののち上院の承認をうけ、総督が署名してはじめて発効する。

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