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天然に産する鉱物で、その美しさや希少性による価値、かわらぬ耐久性を満足させるものをいう。さらにのぞましい点として、かたいこと(→ 硬度)と、熱や圧力、身の回りにある化学製品などに対して抵抗力が強いことがあげられる。 宝石になる鉱物では、エメラルドやアクアマリン、ヒスイ輝石(→ ヒスイ)などのケイ酸塩(→ ケイ酸塩鉱物)、ルビー、サファイア、クリソベリルなどの酸化物、ダイヤモンドのように炭素のみからできている元素鉱物がおもなものである。ラピスラズリのように2、3の鉱物があつまったものもある。動物や植物がつくった、サンゴ、真珠、コハクなども宝石としてあつかわれる。
宝石は、たんなる装飾品ではなく、宗教、権威、富のシンボル、魔よけとして、古代からもちいられてきた。初期は貝、動物の骨や象牙などを加工していたが、しだいに金や石でつくるようになった。4500年前には、中国でヒスイの彫刻技術が確立されていたと思われる。 同じころの古代バビロニアや古代エジプト(→エジプトの「歴史」)でも、ラピスラズリ、紅玉髄(→ 玉髄)、トルコ石、アメシスト(→ 石英)などをつかって宝飾品をつくっていた。エジプト人は、シナイ半島でトルコ石、アスワンでアメシスト、遠くアフガニスタンでラピスラズリを採掘していたといわれる。古代ローマ(→ ローマ史)では、メノウのカメオがとくにこのまれていた。 古代サンスクリットの写本には、2000年以上前にインドからダイヤモンドの産出が記録されているように、インドやスリランカ、ミャンマー地域では砂礫中(されきちゅう)に宝石鉱物が多い。ダイヤモンドやサファイア、ルビー、スピネルなどが何世紀にもわたり採掘され、近代宝石の重要な源となった。 コロンビアのエメラルドが最初にヨーロッパにもちこまれたのは16世紀のことであり、ブラジルのクリソベリル、トルマリン(→ 電気石)、トパーズなどの鉱床が開発された。19世紀になると、南アフリカのダイヤモンドやオーストラリアのオパールが発見されている。20世紀には、シベリア、アフリカ各地、オーストラリアでダイヤモンド鉱床が知られるようになった。 → 装身具
宝石の美しさにはさまざまな種類がある。たとえば、ダイヤモンドの炎のようなきらめき、ルビーやラピスラズリなどの鮮やかな色の美しさ、みる角度によってさまざまな色が変化するオパール、内部から柔らかな光をはなつムーンストーン(→ 長石)、ヒスイのもつ半透明性の微妙な輝きといったものがある。これらは、光がそれぞれの鉱物のもつ特有の屈折率と内部構造によってさまざまな現れ方をすることによる。 さらに、ルビーのスター効果、クリソベリルのキャッツアイ効果、サンストーン(→ 長石)の火の粉のようなきらめきなどは、内部に別の鉱物が包有物として存在するためにおこる。宝石鉱物の多くは、産出したそのままの状態では、それほどうつくしくないので、鮮やかな色や輝きをひきだすためにカットや研磨をおこなう。 スター効果についてはルビー、キャッツアイ効果については猫目石を参照。
宝石に美しさは当然の条件であるが、それに希少性がくわわって価値が高まる。宝石鉱物の中には、ふつうに産するものが少なくないが、とくに色や透明度にすぐれ、内部の傷がないといった条件をみたすものはまれである。たとえば、石英は地殻にひじょうに多く産するが、ほとんどは白から灰色の透明感が少ないものである。しかし、まれにうつくしいアメシストや色の変化にとんだ縞メノウ(→ メノウ)などがある。 また、産出量がもともと少ないものもある。ダイヤモンドはキンバーライト(→ 橄欖岩)という特殊な岩石にふくまれているが、この岩石100t当たり5g(25カラット)ほどしか産出しない。品質がよく、大きいものはさらに希少性がまし、信じがたい価格がつけられる。宝石の市場価格は、色、内部の傷の程度、重さできめられる。重さは、カラットで表示され、1カラット=0.2gである。
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