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西アジアの古代国家で、前8世紀ごろ最盛期をむかえ、広大な帝国をつくりあげた。現イラクの北部国境と、ティグリス川、小ザブ川の合流点あたりから、三日月形にのびる広大な領土を保有した。東部にはティグリス川の肥沃(ひよく)な河谷があり農業に適しているが、西部は乾燥した原野がつづく。東端にはザグロス山脈が位置し、北部はメソポタミア平原がアルメニア山塊へとせりあがっていく。南部はティグリス、ユーフラテス両川地帯で、最初はシュメール、次にシュメール・アッカド、のちにはバビロニアとよばれた。 アッシリアのよく知られた都市には、アッシュール(現カルア・シルカ)、ニネベ(現在発掘されているクユンジュクの丘)、カルフ(現ニムルド)、ドゥル・シャッルキン(現コルサバード)などで、いずれも今日のイラクに属している。
アッシリアが支配した地域には、旧石器時代(→ 石器時代)から人々の居住がみられ、北東のへりにあたる地方の洞窟で、ネアンデルタール人の2体の頭蓋骨が発見されている。しかし、前6500年ごろまでは定住農耕生活はおこなわれていなかった。 最初の農村生活がどんな民族によっていとなまれたかは不明だが、その人々は、のちにスバル人として知られる民族で、膠着語を話していたと考えられている。前6千年紀のこの地方の農民は、小麦や大麦を栽培し、牛やヒツジ、ヤギ、豚をかっていた。家はかたい粘土でつくられ、だいたい4つの部屋をもっていた。パンをやくためのまるい竃(かまど)があり、穀物は粘土に瀝青(れきせい)をぬった大きな容器に保管していた。また織物をおり、黒曜石などの石材でナイフや斧(おの)、鍬(くわ)などをつくった。この時代の死者は、おもに体をおりたたんだ姿で、墓地よりも家の地下に埋葬された。 その後、おそらく前3千年紀にはセム人の遊牧民がこの地方を征服してうつりすみ、バビロニア語(→ アッカド語)とよく似た、屈折語に属する言語が一般的になったとみられる。
前3千年紀のアッシリア地方は、たいていの中東地域と同様に、南部にあるシュメール文明の影響下にあった。アッシュールの発掘によって、この時代の神殿からは、シュメールのものと非常によく似た彫像が発見されている。つづく前2300年ごろのアッシリアは、シュメール・アッカドの一部となり、その帝国が前2000年ごろ崩壊すると、アラビア砂漠からセム系の遊牧民アモリ人が侵入し、メソポタミア地域は混乱した。 そのころ、アッシリア人はメソポタミア北部で1つの勢力を形成していたと考えられており、活発な商業活動をいとなんでいた。そして、前1850年までにアッシリア商人はアナトリア(小アジア)中央部を植民化し、金、銀、織物などの交易をおこなっていた。
前1810年ごろ、アッシリア王のシャムシアダド1世(在位、前1813~前1781)は、アッシリアの領土をザグロス山脈から地中海にいたるまでに拡大した。シャムシアダドは、おそらく古代中東世界における最初の中央集権的な帝国の支配者だった。彼は王国をいくつかの地域にわけ、特別に任命された行政官や顧問団にまかせたほか、連絡のために駅伝の制度をもうけ、さらに定期的な人口調査もおこなった。しかし最初のアッシリア帝国は長続きせず、シャムシアダドの息子イシュメダガンはバビロニアのハンムラピ王にやぶれ(前1760頃)、アッシリアはバビロニア帝国の一部となった。 バビロニア帝国は2世紀ほどで衰退し、前16世紀、非セム系のカッシート人がバビロニアに侵入し、政治的な力をもった。いっぽう、別の非セム系山岳民族フルリ人は、メソポタミア北部全域に侵入し、彼らはさらにパレスティナにまで達した。また、別のインド・ヨーロッパ系の民族がフルリ人にまじってあらわれたとされるが、彼らの名は知られていない。このような民族の複雑な動きのため、前16世紀のメソポタミアの歴史は混沌としている。 前1500年ごろのアッシリアは、ミタンニ王国の属国になった。当時のミタンニは、北部メソポタミア全域を支配する帝国規模の国家だった。アッシリアは前14世紀初めまでミタンニの支配下にあったが、北部で勃興(ぼっこう)してきたヒッタイトによってミタンニが敗北すると、その混乱を利用してアッシリア王アッシュールウバリト1世(在位、前1365~前1330)が、ミタンニの支配をのがれ、逆にその領土を併合した。 アッシュールウバリト1世のあと、アダドニラリ1世(在位、前1307~前1275)、シャルマネセル1世(在位、前1275~前1244)、トゥクルティニヌルタ1世(在位、前1244~前1208)といった強力な支配者がつづき、アッシリアの領土はひろがり、エジプト、バビロニア、ヒッタイトとならぶ強国となった。
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