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1933~38年、アメリカ大統領フランクリン・ルーズベルトが大恐慌対策のために実施した革新的な政策の総称。
1929年10月、ニューヨークでおこった株価の大暴落によって、世界的な大恐慌がはじまった。土地をうしなう農民や失業する労働者が続出し、その後の数年間で、数千の銀行が閉鎖され、アメリカ人の多くが預金をうしなった。32年、恐慌がつづく中での大統領選挙で民主党のフランクリン・ルーズベルトは、アメリカ国民のための新規まきなおし(ニューディール)を公約にかかげて現職大統領のフーバーをやぶった。ルーズベルトは、最初の就任演説で次のように宣言した。議会が思い切った方針をとらない場合、国家がさらに重大な危機に直面した場合、わたしはただちに職務を遂行する。この非常事態とたたかうために、他国の侵略をうけたときに大統領にあたえられる権限と同じ強大な権限を行使するつもりだ。 ルーズベルトは、失業率の低下と景気の回復につとめながら、広範囲にわたる政策を実施し、そのための政府機関をつくった。ほとんどの政策はブレーン・トラストとよばれる私的顧問団と協議し策定された。顧問団は民間の学者や法律家たちで、経済問題を中心に助言した。
大統領選挙での圧倒的勝利をきっかけに、1933年にはルーズベルトによって経済復興を重視する多数の法律が制定された。大統領就任直後、ルーズベルトは議会を召集。3月に全国の銀行に業務停止を命じ、議会は政府による銀行への立ち入り検査をみとめる緊急銀行法を可決した。33年夏、新設の連邦預金保険公社(FDIC)によってグラス・スティーガル銀行法が施行され、銀行にはさらにきびしい規制がもうけられた。これらの法律は、あいつぐ銀行倒産のあとの金融不安をとりのぞくのに役だった。 1933~34年に株式市場に細かな規制をもうけた2つの法律が制定され、新設の証券取引委員会(SEC)によって施行された。連邦住宅局(FHA)は、農民と住宅所有者に抵当を保証し、住宅購入者に融資を保証する法律を施行した。連邦緊急救済法(FERA)で設置された連邦緊急救済局は、失業救済向けとして州政府に5億ドルの連邦資金を提供し、2000万人以上に援助した。民間資源保存局(CCC)は、軍事教練方式による植林などの事業で多くの若者に職をあたえ、さらに議会はテネシー渓谷を開発して水運と治水に役だて、アメリカ南西部の広大な地域に電力を供給する目的で、テネシー川流域開発公社(TVA)を設立した。 1933年に制定された中でもっとも重要なものは、経済分野関連の法律だった。33年、議会は複合的な農業法案である農業調整法(AAA)を新たに可決した。これには、農産物の価格を上昇させるような条項や、農家が余剰農産物を廃棄すると助成金をもらえる条項もあって、世論の非難をあび、36年に合衆国最高裁判所によって違憲とされている。全国産業復興法(NIRA)は、総合的な産業政策をうながすもので、初期の法律の中ではもっとも革新的だった。この法律には、公共事業局(PWA)による公共事業の大幅な拡大と、国内の企業活動を規制して公正な競争を確保する2つの復興計画がもりこまれていた。さらに全国復興局(NRA)を設置して、公正な競争を確保するために、各産業部門ごとに公正競争規約を承認、施行した。
あわただしく策定された初期の法案の多くは、その後、最高裁判所によって違憲とされた。しかし、1935年には政策批判の高まりを契機として、ルーズベルトは社会保障制度の充実や労働保護立法の樹立など福祉を中心とした政策をめざした。これは第2期ニューディールとよばれる。法案の中には、富裕階級への増税、個人事業へのきびしい規制、僻地の電化に対する補助金支給(僻地電化局)、組織労働者の権利を保護するものなどがあった。労働長官パーキンスの指導のもと、全国労働関係法(提案者であるワグナーにちなんでワグナー法ともよばれる)によって、労働者の交渉権が保障され、公正な雇用のための基準がさだめられた。38年の公正労働基準法では、大半の業種における労働者の最長労働時間と最低賃金がきめられた。 1935年、国内需要を拡大するため50億ドルという巨額の救済予算がたてられ、いくつかの計画が復活し、事業促進局(WPA)が運営する連邦の新しい失業救済計画などに資金が供給された。さらに同年、議会はきわめて重要な法律といわれる社会保障法を制定している。この制度はおもに3つの計画(1)老齢年金、(2)失業保険、(3)州の生活保護制度への連邦政府による財政援助(老人困窮者や盲人、要保護児童への生活保護)からなっていた。政府の資金援助による新しい住宅建設計画とともに、これはアメリカの社会保障制度の先駆けとなった。
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