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甘い味がする炭水化物につけられた名称。ふつう炭水化物のことを糖類または糖質というが、デンプン、セルロースおよびグリコーゲンなどの多糖類と区別して、単糖類や二糖類、三糖類など低分子のものを糖とよぶことが多い。天然に広く存在している糖は植物の光合成によってつくられ、多くの動物組織にもみつかる(→ 糖代謝)。糖は水にとけやすく、無色無臭で、ふつう結晶化する。
5個の炭素原子からなる単糖を五炭糖あるいはペントースというが、ペントースの一種、リボースC5H10O5はリボ核酸(RNA)やアデノシン三リン酸(ATP)をはじめ、補酵素のNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)やNADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)などの構成成分であり、すべての動物細胞に必須な成分である。三炭糖(トリオース)、四炭糖(テトロース)、七炭糖(ヘプトース)、八炭糖(オクトース)、および九炭糖(ノノース)も天然に存在することがわかっている。 しかし、もっとも広く分布している単糖は、6個の炭素原子からなり、分子式C6H12O6でしめされる六炭糖(ヘキソース)である。多くのヘキソースには分子式や分子量は同じであるが立体配置がたがいに鏡像の関係にある異性体があり、これらは光学異性体あるいは鏡像異性体とよばれている。 これら異性体は、おのおの右旋性ヘキソースおよび左旋性ヘキソースともよばれ、右旋性ヘキソースの水溶液に偏光(→ 光学)をあてると偏光面が右に回転し、左旋性ヘキソースでは左に回転する。動物体内にとりこまれるとヘキソースはすべて右旋性ヘキソースにかえられる(→ 有機化学)。 アミノ酸にもこのような光学異性体が存在するが、生物が合成する糖、アミノ酸は光学異性体のうち片方のみである。もっとも重要なヘキソースはアルデヒド基(→ 官能基)をもつグルコース(ブドウ糖)とガラクトース、およびアルデヒド基より反応性が弱いケトン基をもつフルクトース(果糖)である。
単糖類が2分子結合し、分子式C12H22O11であらわされる二糖類にはマルトース(麦芽糖)、ラクトース(乳糖)、スクロース(ショ糖)などがある。これら二糖類を酸や酵素で処理すると、加水分解されて1分子の二糖から2分子の単糖が生じる。たとえば、マルトースからは2分子のグルコースが、ラクトースからは1分子のグルコースと1分子のガラクトースが、ショ糖からは1分子のグルコースと1分子のフルクトースが生じる。
離乳食などに広くつかわれるグルコース、ラクトースおよびマルトースなども商業的に重要な糖であるが、もっとも重要な糖は、サッカロースあるいはスクロースともよばれるショ糖である。サトウキビからえられたものでないショ糖もふつうショ糖とよばれる。食物に甘味をつけるショ糖は、飴や菓子、プディング、ジャムなどの保存食品、ジュース類やアルコール飲料など多くの食品製造に使用されている。また、基本的な栄養素のひとつで、食事療法におけるその役割と価値については議論のあるところである(→ 栄養)。
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