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たがいに垂直な軸の周りを回転できる3つの輪形の支持台で独楽(こま)のようにまわる回転子をささえ、回転子の回転軸が、3次元のどの方向にも自由にうごくような装置。回転儀ともいう。 ジャイロスコープには、(1)回転軸が空間で一定方向をたもつ(回転体の慣性)、(2)回転軸に直角な力をくわえると、回転軸は力の方向と垂直な方向にふれる(歳差運動)、(3)歳差運動の妨害に対しては反作用を生じない、という3つの性質がある。 これらの性質は、あらゆる回転体にあり、実用的には、回転体の性質と動きを確認する実験器具としてつかわれるほか、船舶などのジャイロコンパス(→ コンパス)、船舶や飛行機の揺れを減少させるジャイロスタビライザー、および船舶や飛行機の針路を自動的にたもつジャイロパイロット(オートパイロット)などの装置に利用されている。
回転体の慣性は、ニュートンの運動の第一法則(→ 力学)から明らかである。この第一法則によれば、物体が力をうけない場合は、静止していた物体はいつまでも静止し、うごいている物体は等速直線運動をつづけようとする。 したがってジャイロの回転子は、1度回転をはじめると、同じ回転面と、ほぼ同じ回転軸で空間の中で回転しつづけようとする。このような回転体の慣性の例としては、おもちゃの独楽や弾丸がある。 弾丸は空中を回転しながらとぶため、回転体の慣性の法則があてはまる。すなわち、弾丸は回転しながら曲線をえがいてとぶが、もし回転しなかったら、直線をたもってとぼうとするわけである。 ジャイロスコープの実験模型は、金属製の輪形の支持台がはずみ車をささえ、はずみ車の回転軸は、3次元のどの方向にも自由にうごくように設定されている。はずみ車を回転させながら、模型をいろいろうごかしてみると、はずみ車が、回転軸をささえる軸受の摩擦よりもはやい速度で回転している間は、回転軸の方向はそのまま変化しない。これをジャイロの定針性という。
回転軸に方向をかえようとする外力がはたらくと、外力の方向に対して垂直の方向に軸がふれる。このふれは、回転体の角運動量と、外力をあわせてできた力によっておきる。これを歳差運動という。歳差運動の身近な例としては、自転車の車輪や針金でできた輪をつかった、輪まわしあそびの輪がある。輪をまがらせようとする場合、その方向におせばよいと思いがちだが、おした力に対して垂直に回転軸のふれがおきるわけだから、まがりたいと思う反対方向におせば、輪は方向をかえてはしっていくことになる。
ジャイロスコープの性質を利用したものに、ジャイロコンパスがある。ジャイロスコープを赤道上においたと仮定すると、回転軸は東西方向をさしている。回転体の慣性の法則により、回転軸は空間で一定方向をたもつから、地球が自転してもジャイロは同じ方向をさしている。 同じ理由で、地球からみて回転軸の東側があがっても、ジャイロは同じ方向をさす。水銀をいれた試験管を、回転軸と同調してかたむくようにとりつけると、西側にたまった水銀の重みが回転軸に力をおよぼし、回転軸は子午線(南北方向)にふれる。ジャイロコンパスでは、回転軸が子午線をさししめすように、適切な方向と力の大きさを自動調節している。 ジャイロコンパスは、磁気コンパスのように周囲の磁気に影響されず、北磁極ではなく、地理上の北をさすため、方向指示器や羅針盤としての役割をはたし、軍艦や商船など世界中の船舶につかわれている。また、軍艦の自動航行装置では、ジャイロコンパスの予定針路の情報からはずれると、電気的にこれを感知し、この信号は増幅されて航行装置におくられ、正規の針路にもどるように修正する(→ 航法)。 ジャイロパイロットは、船舶や飛行機が予定針路からはずれた場合、これを自動的にみつけて矯正信号を航行装置や方向舵におくる装置である。飛行機のジャイロパイロットは、垂直用のジャイロスコープが縦揺れ、横揺れの変化を、方向用ジャイロスコープが針路の変化をみつける。また、高度は気圧感知器で、速度は速度用ジャイロスコープや加速度計で感知する。これらのデータをコンピューターにおくり、コンピューターは、矯正信号で操縦翼面にとりつけられている、サーボモーターを作動させて修正を行う(→ サーボ機構)。 このほかにジャイロスコープの考え方は、宇宙船(→ 宇宙探査)、誘導ミサイル、潜水艦などの自動航行システムや慣性誘導システムなどに利用されている(→ ロケット)。 ジャイロスコープのかわった用途には、高層建築の耐震構造(→ 耐震建築)がある。風や地震によるビルの揺れを小さくして、短時間で振動をおさえようというもので、周期が短く小さな揺れには効果がないが、地震のように周期が比較的長く、大きな揺れに対しては効果がある。→ 振動:振動数
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