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アラビア文字は、4世紀ごろにアラム文字からわかれてできたものと考えられる。この文字は、アラビア語のほかペルシャ語やウルドゥー語でももちいられ、中近東全域、アジアやアフリカの一部、南ヨーロッパなど、イスラム世界で一般にもちいられている。アラビア文字には2つの書体がある。ひとつはクーフィー書体とよばれる正式の書体で、肉太の字体である。この書体は7世紀の末に考案された。もうひとつはナスヒー書体とよばれる草書体で、現代アラビア文字の母体にあたる字体である。
インドや東南アジアでもちいられている文字については、それが独自に発達したものか、それとも古代セム文字の系統なのかという問題がある。インドでもちいられているもっとも重要な文字のひとつであって、サンスクリットを書きしるすのにもちいられているデーバナーガリー文字は、1音に1字というアルファベットの特徴と音節文字の特徴をうまくくみあわせた文字である。デーバナーガリー文字の起源ははっきりしていないが、この文字から、ベンガル語、タミル語、テルグ語、シンハラ語、ビルマ語、タイ語の文字が生じたものと考えられている。→ インドの言語
これまで説明したアルファベットのほとんどは、古い原型から時代とともに変化したり、古い原型に改変をくわえてでてきたものである。しかし、文字をもたない民族や、外国語の文字をつかっていた国家のために、人為的につくられたアルファベットもある。有名なのはアルメニア文字で、この文字は405年にメスロプ・マシトツによって考案され、現在でもつかわれている。モンゴル語をしるすための縦書きのパスパ文字は、中国で1269年ごろにつくられた。 近代でも、1820年ごろにチェロキー語の音節文字がアメリカ先住民の指導者によって考案されたのをはじめとして、19世紀にはアメリカ先住民諸語のためのアルファベットや音節文字が、ラテン文字やキリル文字をもとにして、宣教師などの手によってつくられている。
どんなアルファベットでも、ことなった言語を話す民族によってつかわれていれば、それぞれ改変がくわえられるものである。アルファベットの数や文字の形もちがうし、文字の上下に記号をつけて、その文字が本来あらわす音とはちがった音をあらわすこともある。たとえば、cの下に小さなsをつけた「セディーユ」という文字は、フランス語、ポルトガル語、トルコ語などではふつうにつかわれるが、英語では外来語をのぞいてほとんどつかわれない。また、セディーユは、フランス語とポルトガル語ではsの音をあらわすが、トルコ語ではtの音をあらわすし、古いスペイン語ではtsの音をあらわしていた。同様に、jは、英語ではdの音をあらわすが、ドイツ語ではyの音をあらわしている。 アルファベットは、1つの文字が1つの音をあらわすようにしようとして発展してきたものではあるが、アルファベットをもちいている言語のほとんどでは、このような原則がまもられていることはあまりない。その大きな理由は、話し言葉が変化するのに対して、つづり字は変化しないからである。たとえば、英語で「騎士」を意味する単語のつづりがknightであるにもかかわらず発音が[nait]なのは、古い英語ではkもghも発音されていたが、現代の英語ではそれが発音されなくなったからである。英語のようにつづり字と発音の間の違いの大きな言語では、つづり字改革運動がおこっている。
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