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炭化水素の水素原子Hをヒドロキシル基(水酸基)–OHにおきかえた構造をもつ有機化合物の総称。一般にはエタノール(エチルアルコール)のことをアルコールと略称することが多い。ベンゼン環の水素原子をヒドロキシル基におきかえたものはフェノールとよばれ、アルコールとは区別されている。 アルコールは無機塩基(→ 酸と塩基)に似ているが、酸性でもアルカリ性でもない。多くの共通の反応をするが、もっとも重要なのは酸と反応して、無機塩(→ 塩)に似たエステルとよばれる物質を形成することである。また、アルコールは消化および細胞内の化学的過程の正常な副産物であり、動物や植物の組織および体液中にも存在する。 ちなみに、アルコールという用語は、アラビア語al-kohlに由来する。kohlは、もともと「微粉末」を意味していたが、のちに中世の錬金術師たちが蒸留による精製物にこの語をあてたことから、現在の用語につながった。
アルコールの構造は、炭化水素中の炭素原子Cにヒドロキシル基–OHが結合している。そして、1分子中にふくまれるヒドロキシル基の数によって、それぞれ1価、2価、3価アルコールと分類される。たとえば、メタノール(メチルアルコール)やエタノールなど単純なものは1価アルコールで、エチレングリコール(2価アルコール)やグリセリン(3価アルコール)などは、多価アルコールである。 さらに、ヒドロキシル基と結合した炭素原子に、ほかの炭素原子が何個結合しているかによって、第1級、第2級、第3級アルコールとも分類される。1分子中に炭素数が少ないアルコール類は低級アルコールともよばれ、無色の液体である。一方、炭素数の多い高級アルコールは蝋状(ろうじょう)の固体で、かつては蝋や鯨油(→ 脂肪油)など動植物からえていたが、現在では石油化学による合成もおこなわれている。
アルコールは分子間に水素結合が形成されているため、融点や沸点は分子量が同じくらいのアルカンにくらべるとはるかに高い。たとえば、分子量32のメタノールの沸点は64.65°Cであるが、分子量30のエタンの沸点は-88.6°Cである。 アルコールは水とむすびつきにくい疎水性(そすいせい)のアルキル基と、反対の性質をしめす親水性のヒドロキシル基からできているため、矛盾した性質をもつ。そのため、炭素数の少ない低級アルコールではヒドロキシル基の寄与が大きくて水によくとけるが、炭素数の多い高級アルコールでは、アルキル基の寄与がまさるため、水にはとけにくくなる。 また、水酸化ナトリウムNaOHの–OHとことなり、アルコール中のヒドロキシル基–OHは、水にとかしても水酸化物イオンOH-とはならないため、アルコールの水溶液は中性である。
もっとも単純なアルコールであるメタノールCH3OHは、芳香臭があり、水によくとける。また、空気中では青白色の炎をあげて燃焼する。溶剤(希釈剤)や燃料、ホルマリン(→ ホルムアルデヒド)などの合成原料として利用されている。エタノールC2H5OHも可燃性だが、メタノールとはちがい毒性がなく、日本酒や洋酒など飲料に使用される。また溶剤や消毒用、燃料や合成原料としてももちいられる。エチレングリコールC2H6O2は、無臭で甘みがあり、自動車の冷却水にまぜて不凍液として利用されるほか、ポリエステル繊維や樹脂(→ ポリエステル)の原料としても重要である。 2つ以上のヒドロキシル基をふくむ多価アルコール、たとえばグリセリンC3H8O3の名で知られている3価アルコールも、医療品や化粧品の潤滑剤として利用され、ニトログリセリンの原料になる。イソプロパノール(イソプロピルアルコール)C3H8Oは消毒アルコールとして、ブタノール(ブチルアルコール)C4H10Oは4種の異性体があり、香料および定着液の基剤として使用されている。
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