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熱帯低気圧(→ 低気圧)の地方名のひとつ。世界気象機関(WMO)の定義によれば、日付変更線より東側の太平洋北中部(東経180度~西経140度)と太平洋北東部(西経140度より東)および、カリブ海とメキシコ湾をふくむ北大西洋で発生する熱帯低気圧の中で、1分間の最大風速が64ノット(約32.7m/s)以上のものをハリケーンとよんでいる。ちなみに、アメリカ合衆国では、風速はノット(kt)であらわし、1ノットは秒速に換算すれば約0.51m/sとなる。 また、ハリケーンに対して、日付変更線より西側の太平洋北西部(東経100~180度)で発生する熱帯低気圧で、最大風速が64~127ノットのものはタイフーン(Typhoon)、128ノット以上のものはスーパー・タイフーンとよんでいる。日本の気象庁の定義では、同じ海域に発生する熱帯低気圧の中で、10分間の最大風速が17.2m/s以上のものを台風という。なお、「熱帯低気圧の呼称一覧」の表に熱帯低気圧の地方名についてまとめてある。 ハリケーンの語源は、西インド諸島先住民の暴風の神ウラカン(スペイン語でhuracan)だといわれている。そして、北アメリカ大陸に上陸するハリケーンの多くはカリブ海で発達する。太平洋北東部で発生するハリケーンは、北西の方向に進行するので上陸するものはまれである。
ハリケーンのほとんどは赤道無風帯(ドルドラム)で発生するが、無風帯といっても、風がまったくないわけではない。中緯度(→ 緯度・経度)の海上よりは穏やかだが、しばしば巨大な積乱雲(→ 雲形)が発生して、はげしいスコールをふらせる。また、赤道無風帯といっても赤道上にあるわけではない。大西洋では北緯5~10度の範囲で、赤道のやや北側に位置する。その北側からは北東の貿易風、南側からは南東の貿易風がふくので、赤道無風帯では2つの気流が合流して上昇気流が発生し、それが原因で積乱雲がたえず発生している。→風の「卓越風」 気流が合流するので、気象学ではそこを熱帯収束帯という。赤道より北側に位置しているため、大西洋で発生するハリケーンは北半球にかたよっている。それに対して東太平洋では、熱帯収束帯が北半球側にも南半球側にもできることがあるので、北半球ばかりでなく南半球でもハリケーンが発生する。ちなみに、2004年にブラジル沖でカタリナ(Catarina)が発生し、南大西洋でハリケーンは発生しないと考えていた研究者たちをおどろかせた。→気象学の「地球大気の循環」
ハリケーンは対流圏の全層におよぶ大気の渦巻きである。上空からみると、北半球では時計と反対向きに回転し、南半球では時計と同じ向きに回転する。 発達するにつれて中心部の気圧が低くなり、渦の周りをめぐる風は強くなる。渦がある程度発達すると、中心部には背が高い雲のない直径20kmほどの部分ができ、その周りを高さが16kmにもなる背の高い積乱雲が円形にとりかこむので、上からみると中心部は雲の穴のようにみえる。そこを「目」という。目の内部は風も比較的穏やかである。また、目の周りをとりかこむ雲を「壁の雲」という。その内側は巨大な積乱雲が密集して、その内部で解放される水蒸気の潜熱(→熱の「潜熱」)がハリケーンの原動力になっている。 その潜熱が雲の中の空気を加熱して風速10m/sをこえるはげしい上昇気流を発生させると、ハリケーンの中心付近の広範囲に海上から水蒸気をふくんだ空気があつまる。この空気にコリオリの力が作用して、渦巻きが発生するのである。つまり、渦巻きの回転方向は地球の自転できめられているのである。風速は目の内側で最大になり、それより外側では、中心からはなれるほど弱くなる。暴風圏の範囲は中心から300km程度である。最大風速の強さによってハリケーンは分類されるが、もっとも強いものは最大風速70m/sにも達する。 ハリケーンは発生すると、放物線に似た経路をたどって中緯度にむかう。北半球で発生したハリケーンは、低緯度にある間は北西の方向にすすむが、途中で進路を北東にかえることが多い。方向をかえる地点を転向点という。低緯度の海上にいる間は時速30km程度の速度ですすむが、転向後は時速80km程度まで加速する。
ハリケーンの強度は、予想される被害の大きさの指標として、アメリカなどでは「シンプソン・スケール」がもちいられている。これは、最大風速によりカテゴリー1から5までの5段階に分類したものだが、最大風速は、日本では10分値の最大値であるのに対して、1分値となっている。
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