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夏の山野でひときわ大きな花をつけ、芳香をはなつユリ科ユリ属の多年草の総称。世界に約100種が知られ、そのうち十数種が日本に分布する。 ユリ科にはうつくしい花をもつものがたくさんあるが、なかでもユリ属の花は観賞価値が高い。ユリ属は野生種のユリの美しさが、ほかの観賞用の花をしのぐほどであったことから、かえって品種改良の歴史が浅いといわれている。
19世紀に東洋から白いユリがつたわる前にヨーロッパで知られていた白ユリは、マドンナ・リリーのみであった。そのため、19世紀以前は白ユリといえば、すべてこの種のことをさしていた。 ユリは古くから知られており、ギリシャ神話にも記載がある。キリスト教では白ユリを聖母マリアの純潔、無垢(むく)、処女性の象徴とする。フラ・アンジェリコやレオナルド・ダ・ビンチに代表される「受胎告知」の絵にも、ほとんどの場合ユリがえがかれている。聖花としてクリスマスや結婚式につかわれ、フランスのブルボン家の紋章にもなっている。
地中海沿岸から西アジアにかけて分布する。花は白く、初夏にさく。古くから観賞用や薬用植物として庭などに植えられていた。
日本には、ヤマユリ、クルマユリ、コオニユリ、オオウバユリ、カノコユリ、テッポウユリのほか、スカシユリ、ヒメユリ、ササユリ、オトメユリ(別名ヒメサユリ)などが自生している。 古事記や日本書紀にササユリの記述があり、万葉集にもうたわれている。能舞台や能衣裳、漆器、陶磁器、襖(ふすま)絵、刺しゅう、女性の着物などのデザインに使用され、日本画の画題にもよくなる。俳句、短歌、物語、謡曲などにもとりいれられてきた。 オニユリ、コオニユリ、ヤマユリ、ササユリなどの鱗茎を漢方では百合(ひゃくごう)とよんで、滋養、強壮、利尿、せき止めなどにつかう。
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