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ユーラシア大陸の東南方に位置する、フィリピン、ブルネイ、マレーシア、インドネシア、シンガポール、ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、ミャンマー(ビルマ)、東ティモールの11カ国からなる地域。ほとんどが熱帯の湿潤地帯であり、稲作、漁労を基盤とする文化をもつ。かつては、フィリピンはアメリカの、ブルネイとマレーシアとシンガポールとビルマはイギリスの、ベトナムとラオスとカンボジアはフランスの、インドネシアはオランダの、東ティモールはポルトガルの、それぞれ植民地であり、タイだけが独立しているにすぎなかった。 1945~54年にそれぞれ独立をはたし、以後、マレーシアとシンガポールの分離(1965)、第2次インドシナ戦争(1960~75。→ ベトナム戦争)、第3次インドシナ戦争(1979~89)、インドネシアによる東ティモールの併合(1976)などの諸事件をへて、国境が確定した。67年にタイ、マレーシア、シンガポール、フィリピン、インドネシアの5カ国が結成したASEAN(東南アジア諸国連合)は、90年代に入ってから急速な経済成長に成功した。以後、ブルネイ、ベトナム、ラオス、ミャンマーが参加し、99年のカンボジアの加盟実現で東南アジア10カ国が参加するASEAN10に成長。独立紛争のたえなかった東ティモールは2002年に独立をはたした。
東南アジアの全陸地面積は、449万km²、日本の約12倍、中国の47%である。しかし、人口は5億4830万人(2002年推計)で、日本の約4.3倍、中国の43%、人口密度は1km²当たり約122人である。全地域が湿潤熱帯であるために、豊かな自然が広がっている。 東南アジアは大きく南の島嶼(とうしょ)部と北の大陸部にわけられる。東南アジア島嶼部は、数万の島が密集する世界最大の多島海であると同時に、世界第3位の面積をもつ島カリマンタン島(ボルネオ島)、第6位のスマトラ島、第9位のスラウェシ島、第11位のジャワ島など、世界の巨大島があつまっている海域である。東南アジア島嶼は、スマトラ、カリマンタンなどの熱帯雨林、ジャワ以東の熱帯サバナにわけられ、熱帯多雨林は、季節を問わず高温湿潤で植物の天国であり、ゴム、アブラヤシ、コーヒー、コショウ(胡椒)などの熱帯の産物が、また乾季と雨季をもつ熱帯サバナでは各種の香辛料や、サトウキビ、稲がつくられ、重要な国際商品になっている。 大陸部は大きく熱帯サバナデルタ、熱帯サバナ平原、亜熱帯性山地からなる。大陸部東南アジアには西からイラワディ川、サルウィン川、チャオプラヤ川、メコン川、ホン川(ソンコイ川、紅河)の5本の大河が南北にながれているが、このうち、イラワディ、チャオプラヤ、メコンがそれぞれ熱帯サバナデルタを下流につくっている。この三大デルタでは19世紀後半以降、稲作が発達し、世界の穀倉となっている。熱帯サバナデルタの北方には、サバナ平原が広がっている。乾季と雨季の差がはげしく、雨季にだけ緑となる雨緑林地帯で、もっぱら天水を水稲栽培に利用する天水田や畑作地が広がり、農業生産はおとり、貧困地帯を形成している。大陸北の山地はカシなど照葉樹林が山地をおおっている。斜面には焼畑、盆地には灌漑(かんがい)水田がみられる。
東南アジアの最古層の民族は、ネグリトとよばれる体形の小さい山地の狩猟採集民で、現在はルソン島南部山地、マレー半島山地の一部に居住し、急速に平地民に同化しつつある。
東南アジアの古層の大民族は南アジア諸語(オーストロアジア語族)と南島諸語(オーストロネシア語族)の人々と思われる。南アジア語はモン・クメール語系ともよばれる。 ベトナムの主要民族ベトナム人は紀元前1000年にはホン川デルタに稲作を導入して居住していたが、10世紀に国家形成をはたし、南方に進出し、16世紀までには中部ベトナム、18世紀までにメコンデルタに進出し、現在ではベトナム領全域に拡大している。もともとは、高床式住居、巻きスカート型衣服であったが、中国文化の影響を強くうけ、土間式住居、ズボン型衣服をもちいている。宗教面では中国系大乗仏教と、伝統的な祖先崇拝、精霊崇拝をともに信仰しているものが多い。19世紀以来、フランスの影響下でカトリックが導入された。20世紀に入ってからは、南部を中心に仏教、儒教、キリスト教、道教の混合宗教であるカオダイ教、新仏教ホアハオ教など新興宗教が生まれている。 クメール人はカンボジアの主要民族である。9世紀から13世紀にかけて、アンコール地域にヒンドゥー教を主体とするアンコール文明を建設したことで知られる(→ アンコール朝:アンコール・ワット)。高床式の住居にすみ、水稲農業に従事し、多くは上座部仏教(小乗仏教)を信仰する。また現在、タイ中部やビルマ南部にすむモン族は、古くから仏教をとりいれ、7~11世紀にはタイ中部にドバーラバティ王国を、またビルマ南部には13世紀から16世紀までペグー王国を建設して、インド文明を東南アジアに紹介した。また中部ベトナムやラオス山地の焼畑民には南アジア語系が多い。
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