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マンガン

マンガン Manganese
百科事典項目
項目構成
I

プロローグ

銀白色のかたくてもろい金属元素。遷移元素のひとつで、おもに合金として利用される。

マンガンをふくむ鉱石、軟マンガン鉱は、ガラスの不純物による着色をけすために古くから利用されていたが、元素としてのマンガンの存在は知られていなかった。1774年、スウェーデンの化学者カール・W.シェーレが、軟マンガン鉱に未知の元素がふくまれることを予測し、同年シェーレの弟子のヨハン・G.ガーンによって、鉱石からはじめて分離された。呼び名の由来にはいくつかの説があるが、そのひとつに、鉄鉱石とともに産出するため磁性があるとあやまって考えられ、磁石を意味するラテン語magnesから元素名がつけられた、というものがある。

II

性質と存在

軟マンガン鉱(二酸化マンガン)MnO2とアルミニウム粉末の混合物を燃焼すると、二酸化マンガンがアルミニウムによって還元され、金属マンガンが生成する。また、硫酸マンガンMnSO4電気分解によっても、金属マンガンがえられる。金属マンガンの塊は空気中で酸化被膜がつくられる。微粉末は酸化されやすく、空気中で発火することもある。水と反応して水素を発生し、希酸にも容易にとける。

隕石に金属マンガンがふくまれることもあるが、それはわずかの例外で、マンガンは天然には単体として産出しない。しかし鉱石は、全世界にひろく分布する。主要な鉱石は軟マンガン鉱で、そのほか菱マンガン鉱MnCO3、ブラウン鉱3Mn2O3・MnSiO3、水マンガン鉱Mn2O3・H2Oなどの鉱石として存在する。マンガンの産出量はほぼ700万トンであり、おもな産出国はウクライナ、南アフリカ、オーストラリア、インド、ブラジルなどである。また、太平洋、インド洋の海底には、マンガン団塊としてひろく分布している。これはマンガンを豊富にふくむ金属水酸化物の塊で、将来の資源として有望であり、海底からの採掘がこころみられている。日本ではごく少量しか産出されない。

III

用途

マンガンが単独の金属として使用されることはほとんどないが、合金のかたちではひろく利用されている。軟マンガン鉱と鉄鉱石に炭素をくわえ、溶鉱炉で処理すると、マンガンと鉄の合金がえられる。フェロマンガン(マンガン70~80%)、鏡鉄(マンガン12~33%)などがその代表だが、これらの合金は製鋼の際に添加され、鉄鋼から酸素や硫黄を除去する脱酸、脱硫剤としてはたらく。またマンガンの添加は、鉄鋼の硬度を高める。製鋼

鉄以外の金属との合金もひろく利用されており、マンガン青銅(マンガン、銅、スズ、亜鉛)は海水による腐食をうけないので、船舶のスクリューに使用される。マンガニン(マンガン、銅、ニッケル)は温度による電気抵抗の変化が小さいので、電気測定器にもちいる標準抵抗線として利用される。マンガン、亜鉛、鉄をふくむ酸化物MnZnフェライトは、強力な磁性材で、テレビ受像機、電話機にもちいられる。

化合物の二酸化マンガンMnO2は天然には軟マンガン鉱として産出するが、実験室では硝酸マンガンMn(NO3)2の加熱によってえられる。二酸化マンガンは黒色の粉末で、乾電池をはじめ、塗料、ワニス、ガラスや陶磁器の着色剤などに利用され、酸化剤として塩素やヨウ素の製造にも使用される。硫酸マンガンMnSO4はピンク色の結晶で、二酸化マンガンと硫酸との反応でつくられ、木綿の染料として利用される。過マンガン酸カリウムKMnO4、過マンガン酸ナトリウムNaMnO4は、どちらも赤紫色の結晶で、それぞれマンガン酸カリウムK2MnO4、マンガン酸ナトリウムNa2MnO4の酸化で生じ、酸化剤、消毒薬に利用される。

元素記号Mn。原子番号25。原子量54.938045。周期表(周期律)7族に属する。融点1244°C。沸点2060°C。密度7.43g/cm³(25°C)。モース硬度6。地殻中の存在量は1060ppm。

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