Windows Live® の検索結果
Windows Live® の検索結果 項目構成
プロローグ; 素材と技術; エジプト―彩飾写本の起源; 古典期、初期キリスト教、ビザンティン時代の写本; アイルランドとイギリスの写本; カロリング様式; ロマネスクの写本; ゴシックの写本; ルネサンスの写本; アラブとペルシャの写本; インドとトルコの写本; ヘブライの写本
挿絵や装飾がはいった手書きの書物。おもに中世以降のヨーロッパで、聖典などの写本を高級化するためにつくられた。テキスト(本文)の最初の文字をかざるためにつかわれた朱色の絵具をさすラテン語「ミニウム(鉛丹)」から、ミニアチュールともよばれる。ミニアチュールという語は、16世紀以降フランス語の「ミニヨン(小型の)」と結合して細密画の意味でもつかわれるが、両者はまったく別の美術ジャンルに属するものである。
彩飾用の絵具の赤色、茶色、黄土色は土の顔料からつくられた。オレンジ色、赤色、茶色は金属鉱石の含有物からもできた。青色はラピスラズリのような石からとられた。青色のアズライト、緑色のクジャク石は金属鉱石だが、青色はホソバタイセイやインディゴといった植物からも抽出された。白色は石灰、鉛、鳥骨をやいた灰などから、黄色は硫化ヒ素の石黄あるいはサフランからとられた。 顔料はすりつぶして粉末にし、卵白をまぜて羊皮紙に固着させた。ヨーロッパでは、金箔は金板をクモの巣ほどの薄さにまでたたきのばしてつくられた。まずチョークや石膏(せっこう)の層の上に、ボール(粘土質の鮮紅色のろう状物)をかぶせて凹凸をつけ、その上に卵白、陶砂(どうさ:動物のゼラチン)、はちみつ、砂糖などで羊皮紙に金箔を接着した。さらに動物の歯をつかって金のつやをだし、その上に幾何学文様や植物文様を型押しした。中世のヨーロッパや中東では、絵具の製法に関する書物が書かれている。 中世では、写本にえがかれた絵は高級芸術とされていて、写本彩飾師は多彩な装飾をほどこした。書物の巻頭には、東洋のカーペットに似た抽象的な文様でデザインされたカーペット・ページや、著者やパトロンを想像してえがいた肖像画がおかれた。テキストでは、大きな頭文字が人物像や物語場面、あるいは動物の形態で装飾された。また各ページの周りが植物文様でかこまれ、欄外余白が鳥・動物・空想の生き物などでみたされた写本もあった。挿絵だけのページもあれば、テキストと挿絵が共存しているページもある。挿絵を巻頭にまとめている写本もあった。
彩飾写本のもっとも古いものとしては、古代エジプトのパピルスに書かれた巻物「死者の書」がある。前20~前10世紀に、王族・貴族・神官・巫女(みこ)・宮廷役人などから注文をうけ、写本筆記者によって制作された。後代には、既製品の写本に購入者の名前をいれるようになった。埋葬前の葬礼、神官と親族がとなえる祈り、死後の世界での死者の振る舞い方などがしるされ、葬列・ミイラ化・魂の計量・天国の死者・死者の神オシリスへの拝謁などの挿絵がいれられた。 エジプトの気候は乾燥しているので、死者とともに埋葬されたパピルスの巻物は、よく保存された。もっともすばらしい作品は、第18王朝の「アニのパピルス」(前1570?)である。前12世紀以降、その技術は衰退したが、「死者の書」はヘレニズム時代(前323~前1世紀)まで存続した。 アレクサンドリア図書館の写本筆記者はエジプト文学の彩飾写本に刺激されてギリシャの文学書や科学書を筆写したと考えられる。このような挿絵入りテキストは初期キリスト教時代の断片しかのこっていない。古典文学の絵画は、ギリシャ時代やローマ時代にはモザイクと壁画にえがかれたので、後世のビザンティン時代やヨーロッパの彩飾写本の場合と同様に、挿絵入りの巻子本(かんすぼん)が絵画や彫刻の手本だったと推定される。アレクサンドリアでヘブライ語からギリシャ語に翻訳された旧約聖書が、彩飾されていた可能性もある。
初期キリスト教とビザンティン時代(1~6世紀)の彩飾写本で現存するものは少ない。文学書の写本では、バチカン図書館にある2点のウェルギリウス本と、ミラノのアンブロジアーナ図書館のホメロス著「イーリアス」が重要である。もっとも豪華な聖書は、創世記の物語をえがいた「ウィーン創世記」と「ロッサーノ福音書」であり、ともに6世紀に紫羊皮紙に筆写された。 ギリシャの医師ディオスコリデスが1世紀にヘブライ語で書いた「薬物誌」は、通称「ウィーン・ディオスコリデス」として知られる512年ごろの訳本では彩飾がくわえられ、ビザンティンとイスラム世界で多数複写された。この時代のミニアチュールは、ヘレニズムやローマの壁画を思わせる現実再現的な様式でえがかれている。 イコノクラスム(聖像破壊運動)期(726~843)以降、マケドニア朝のコンスタンティノポリスの写本彩飾師は、聖書主題の絵にも現実再現的な描写と古典的な表現を復活した。10世紀の「パリの詩編」には、奇跡に感謝をささげる聖書の中の人物の口絵が数ページとダビデ王の図像がふくまれている。ダビデの図像は、野獣をならすオルフェウスをえがいた古典的な挿絵に影響されたものである。
|
© 2009 Microsoft
![]() ![]() |