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温度のちがう物体や、同一物体の温度のちがう部分の間を、熱という形をとったエネルギーが移動する過程のこと。熱の伝達はふつう伝導・対流・放射の3つの方法でおこなわれる。3つは同時におこるが、1つが圧倒的に優勢であることもめずらしくない。たとえば、熱は建物の煉瓦(れんが)の壁を伝導によってつたわり、飛行機の表面は対流によって熱せられ、地球は太陽から放射によって熱をうける。
伝導は、不透明な固体における唯一の熱の伝達手段である。金属棒の一端が熱せられて温度があがると、熱はもう一方の冷たい端の方向に伝導する。しかし固体の中における伝導の仕組は完全にはわかっていない。 部分的には固体内の自由電子の運動に起因すると考えられている。温度差ができると自由電子がエネルギーを運搬するのである。こう考えると、よい電気伝導体(導体)が、同時によい熱伝導体であるということがわかる。 熱伝導現象は数世紀も前に知られていたが、正確な数式で表現したのは、1882年にフランスの数学者フーリエが最初であった。このフーリエの法則は、物体の単位面積当たりに伝導する熱の割合は、物体内の温度勾配の符号をかえたものに比例するとのべている。
熱の流れと温度勾配との比は、物質の熱伝導度とよばれる。金、銀、銅などは熱伝導度が高く、すばやく熱をつたえる。しかし、ガラスやアスベストの熱伝導度はその数百分の1も数千分の1も小さく、熱をつたえにくい。 これらは断熱体とよばれる。工学で固体内に温度差が生じたときの熱伝導を計算しなければならないことがよくあるが、計算には複雑な数学の手法が必要である。過渡的熱伝導現象といった、時間とともにかわるような伝導の場合はなおさら複雑になる。現在では複雑な構造における熱の伝導も、コンピューターを利用して計算がおこなわれている。→ コンピューター
伝導は1つの物体の中だけでなく、接触した2つの物体間においても生じる。もし一方が液体か気体であれば、ほとんどかならず流体の運動が発生する。 固体表面と液体や気体との間におこる伝導の過程は対流ともよばれる。流体の運動は、自然におこるものもあるし、強制的におこすものもある。 液体や気体は熱せられると、体積当たりの質量が減少する。重力場におかれると、熱くて軽いほうの流体が上昇し、冷たく重いほうの流体はしずむ。このように温度の不均一と重力によっておこる運動は自然対流とよばれる。これに対して、圧力勾配をくわえて流体に運動を生じさせる対流を強制対流という。 たとえば、なべにはいった水を下から熱したとき、底の水は膨張し密度が減少する。そのため底の熱い水が表面に上昇し、冷たい水が底のほうへとむかい、水の循環がおこる。同じように、二重窓ガラスの間の空気は、冷たい外側のガラスに近いほうがさがり、あたたかい内側に近い空気が上にあがることによって循環が生じる。
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