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病気や傷害の診断・治療・予防や、健康をたもつ方法などについて研究する科学の一分野。その領域は、個人にとどまらず社会全体、そして身体的な側面だけでなく精神的、心理的側面をも対象にする。
人類は、この世界に登場して以来、つねに病気とたたかいつづけてきた。先史時代、病気は悪霊が体の中にはいっておこすものだとされていた。したがって、病気の予防とは、呪文、踊り、魔術、魔除(よ)けなどで、悪霊が体の中にはいらないようにすることだった。病気になったときは、患者の体をうちすえたり、拷問にかけたり、飢えさせて、悪霊をおいだそうとした。いまだに、呪医による治療がおこなわれている地域もある。 消毒や縫合、湿布や副木などの外科的な治療もすでにみられた。てんかんや精神の障害、頭痛には、頭蓋骨に穴をあけて(→ 開頭術)、悪霊をおいはらおうとした。開頭術は現在でも、脳の手術の際におこなわれる。薬は、下剤、利尿薬、催吐薬、浣腸剤などがつかわれていた。麻酔作用や刺激作用がある成分をもつ植物からは、さまざまな薬がつくられた。現在でもアヘンやヒヨスなどの植物からとれる薬が数多くつかわれている。
先史時代と同様、多くの国や地方で、病気の元は悪霊だと考えられていたが、独自の医学も発達していった。
古代のエジプトにおける医学についての基本的な考え方は、経験と観察にもとづいた合理的なものだった。皮膚や目など、観察しやすい部分は、医師が合理的な治療にあたった。しかし、体内の組織の病気については、聖職者でもある魔術師の祈祷(きとう)が中心だった。前2900年ごろの初期王朝時代には、科学者の祖となる医師たちがあらわれた。彼らは、神殿に付属する学校で問診、検査、触診の訓練をうけた。なかでも、ピラミッドの設計者としても知られるイムヘテプは、のちに医神としてあがめられる。現存するパピルス文書によると、当時は900種近い処方がつくられていた。たとえば、下剤にはイチジク、ナツメヤシ、ヒマシ油がよくもちいられた。 前5世紀のギリシャの歴史家ヘロドトスによれば、古代エジプトでは歯科は重視されていたが、外科のレベルは低かった。前3世紀になると、ギリシャ医学がエジプトで発展する。イムへテプ以来の生理学および病理学の研究がおこなわれた。前7世紀ごろのギリシャの哲学者タレスは、すべてのものの元は水だと考えたが、それは、アレクサンドリアで活躍したギリシャの解剖学者ヘロフィロスにも影響をあたえた。
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