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ビタミンとホルモンの発見も、20世紀医学に大きな影響をあたえている。栄養の分野では、ビタミンの存在ははやくから知られていたが、ビタミンという名は1912年、ポーランドのC.フンクによりつけられた。以後、多くのビタミンが発見され、その働きが明らかになると、脚気、くる病、貧血などが予防できるようになった。 内分泌腺の働きに関する知識が豊富になるにつれ、さまざまなホルモンが発見された。とくに1923年、カナダのバンティングとC.ベストがイヌの膵臓からとりだしたインスリンは、糖尿病の治療に革命をもたらした。日本の高峰譲吉は、1901年、アドレナリンの結晶化に成功している。
新しい病気、複雑な病気があらわれると、医学は高度な機械、費用のかかる医療に力をいれるようになってきた。それにつれて、国民個人個人の健康に対する関心が高まり、自分の健康は自分でコントロールしようという傾向が強くなってきた。家庭医学の本が数多く発行され、体の働きと病気への理解がすすみ、とくに予防への関心が強くなっている。
医学の使命は、個人の病気を治療することだけではない。個人の属する集団、社会全体の健康を維持することが、大事な課題である。日本は世界一の長寿国であるが、長生きも健康でなくては意味がない。それには、社会の健康管理が重要になってくる。また、たとえ不治の病気にかかっていようとも、生活の質を高くたもちたい。そのような観点から、最近ホリスティック医学ということがいわれるようになっている。これは、健康を体の面からだけではなく、精神的な面からもみて全体的にとらえていこうとする考え方である。(1)医療がただの科学になり、命をひきのばすためだけのものになっていると批判し、患者と医療者の関係をみなおそうという立場、(2)西洋医学に、東洋医学や心身医学、食事療法などを併用していこうという立場、(3)精神的・心理面からも人間をとらえようという立場がある。 病気との戦いは、人類の登場とともにはじまり、近年は格段の進歩をとげている。臓器移植、人工臓器、人工授精、体外受精、遺伝子治療など、自然の摂理をこえる治療もおこなわれるようになっている。それだけに、医師と患者の間にはより強い信頼関係がなくてはならない。医師が基本的な精神をわすれたために、医療ミスがおこることもある。患者は弱い立場であってはならない。患者自身、健康と医療に対する意識を高めるべきであろう。高度な医療が可能になってきている現代こそ、行政、医師、製薬会社の倫理感が問われる時代である。
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