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ドイツおよび、かつてドイツと同盟をくんでいた諸国民の言語で、インド・ヨーロッパ語族、ゲルマン語派の西ゲルマン語に属す。 ドイツ語を話す人々は、ドイツ連邦共和国に約7900万人、オーストリア共和国に約750万人、スイス連邦の北部地域に約420万人、ルクセンブルク大公国とリヒテンシュタイン公国にあわせて約40万人いる。これらドイツ語を公用語としている国々のほか、フランスのアルザス・ロレーヌ地方で約150万人がドイツ語を話しており、ベルギーや東ヨーロッパ各地、ヨーロッパ以外にも話し手がいる。 ヨーロッパ以外でドイツ語話者の人口がもっとも多いのはアメリカ合衆国で、カナダ、ブラジル、アルゼンチンなどにも多い。
ドイツ語は、標準ドイツ語をふくむ高地ドイツ語と低地ドイツ語の2つの方言群からなり、はなれた地域の方言は理解しあえないこともある。 高地ドイツ語はさらに上部ドイツ語(スイス、オーストリア、リヒテンシュタイン、南ドイツ)と中部ドイツ語(ルクセンブルクからドイツ中部地域)の2つに区分される。上部ドイツ語には、アレマン方言、バイエルン・オーストリア方言、フランク方言、ランゴバルド方言がふくまれる。中部ドイツ語には、ライン・フランク方言、モーゼル・フランク方言、リプアリア方言、チューリンゲン方言、上部ザクセン方言、シレジア方言がふくまれる。 ドイツ北部で話される低地ドイツ語は、オランダ語にひじょうに近い低地フランク方言と低地ザクセン方言からなる。
ドイツ語は、子音の体系的変化によって発達した。まず、第1次子音推移でほかのインド・ヨーロッパ諸語から古代ゲルマン祖語がわかれた。グリムの法則によるとこの子音推移で、インド・ヨーロッパ語のp、t、kは、それぞれゲルマン語のf、th、hに、b、d、gはp、t、kに、同様にbh、dh、ghはb、d、gにかわった。 つづいて、西ゲルマン方言が独自の特徴を発展させたのち、500年から700年ごろに第2次子音推移がおこり、高地ドイツ語は、低地ドイツ語をふくめたほかの西ゲルマン語から区別された。この第2次子音推移で、ゲルマン語の語頭もしくは子音につづくpはpfになり、語中もしくは語末に母音のあとのpがある場合はffまたはfに、tがある場合はz(発音は「ツ」)またはssになった。母音に後続したkはchとなったが、それ以外の環境では、ドイツの最南部をのぞいてkを維持した。また、その後の変化で、ゲルマン語のthはdとなったが、この変化は低地ドイツ語にもみられる現象である。 その後、ドイツ語は各ゲルマン諸族においてそれぞれ発達し、統一的な標準文語をもたなかった。14世紀半ばまで、現在のヨーロッパにおけるドイツ語圏の多くをふくむ神聖ローマ帝国の公用文語はラテン語だった。しかしルートウィヒ4世時代(1314~47年)にドイツ語が公的な裁判文書の言語として採用され、1480~1500年には、ザクセンとマイセンの多くの地方自治体や裁判所でおおやけに使用されるために導入され、ライプツィヒとウィッテンベルクの大学でも採用された。1500年までにドイツ語は、ザクセンやチューリンゲンの全地域で公用語として一般的にうけいれられ、教養人階層の文語になった。また、ドイツ語の本の出版が、ウィッテンベルク、エアフルト、ライプツィヒといった東・中部の町々や、マインツ、シュトラスブルク(ストラスブール)、バーゼル、ニュルンベルク、アウクスブルクのような西部・南西部の都市で増加した。このような発展が、方言の地域差の減少や、文語の標準化を助長した。 標準ドイツ文語は、16世紀初めにエアフルト、マイセン、ドレスデン、ライプツィヒなどの東・中部地方であらわれた。これらの都市の住人たちは、元来、西部地域や南西地域の出身で、高地ドイツ語をもとにした方言を話していた。高地ドイツ語の標準形は、おもにルターによるドイツ語訳聖書や小冊子、讃美歌などによって、東・中部地域から全ドイツにまでひろがった。そして、高地ドイツ語という用語は、低地ドイツ語方言以外の全ドイツ方言と標準ドイツ文語を意味するようになった。1600年ごろまでには、この標準ドイツ文語の形は確立され、18世紀の半ばごろには、現在とほぼ同じ形になった。 20世紀になるまでドイツとドイツ以外のヨーロッパ・ドイツ語地域では、つづりの基準がさまざまであった。1901年に、北ドイツや南ドイツ、オーストリア、スイスの代表が参加した会議で、統一的な正書法体系が提案され、ドゥーデンによる「正書法辞典」にまとめられた。 また発音についても、一般にうけいれられているドイツ語の標準的発音というものは存在しなかったため、大学教授やドイツ演劇界の代表などで構成され、1898年に設置された委員会で、発音についてのある規範がみとめられた。この発音の規則は「ドイツ語舞台発音」に成文化され、第1版は1898年に出版、1957年にふたたび「標準ドイツ語」として出版された。しかし現在もなお、教養のあるドイツ人の話し方でさえ、方言の発音に影響されている。シュワーベン、ザクセン、オーストリア、スイスなどの話し手は、発音の特徴で容易に判別することができる。
ドイツ語の特徴は、単語の第1音節に主アクセントがおかれることで、これはほかのゲルマン諸語にも共通の特徴である。しかし、接頭辞をともなう場合は語幹にアクセントがおかれ、接頭辞にはおかれない。 ドイツ語の音声的特徴は、次のようである。単純語の語頭や単語内の独立部初頭の強勢母音の前には、声門閉鎖音があらわれる。uやü、o、öは完全に円唇化する。長母音は唇が緊張し、短母音では弛緩する。rは舌で発音するものと喉で発音するものがある。sは、母音の前もしくは母音にはさまれた場合、有声化する。語尾のb、d、gは、それぞれp、t、kのように無声音になる。pfやtsのような破擦音がある。フランス語からの借用語に鼻音化母音がある。 ドイツ語は、屈折語で、名詞に3つの性、4つの格があり、限定用法での形容詞には強変化と弱変化の活用がある。語形変化が豊富なため、語形変化の少ない言語にくらべ、識別が容易な品詞がある。語順は厳密に制限され、たとえば副詞や前置詞句、従属節が先行したときなどは主語と述語の順序がいれかわり、関係代名詞や接続詞による従属節では、動詞は文末におかれる。造語能力にすぐれ、2つ以上の単語をつなげたものや、接頭辞や接尾辞をつけたものがいくつもある。また詩的、哲学的語彙や科学、技術系の用語が豊富である。
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