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  • 通信衛星 - Wikipedia

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通信衛星

通信衛星 つうしんえいせい Communication Satellite
百科事典項目
項目構成
I

プロローグ

遠距離通信のために、地上局からの電波(おもにマイクロ波)によるデータ通信を中継している人工衛星。この人工衛星は地球上空の静止軌道をまわっているが、静止軌道上の人工衛星を通信に利用するアイデアは、世界初の人工衛星スプートニクが成功する1957年よりもはやく、45年にイギリスのSF作家であったアーサー・C.クラークによって紹介された。

II

開発の歴史

初期の通信衛星は、地上局からおくられた電波を反射するだけで、受信電波の増幅や送信はしない受動型衛星だった。現在では電波を送受信する装置(トランスポンダー)を搭載している能動型衛星のみが使用されている。

通信衛星第1号のSCORE(Signal Communications by Orbiting Relay Equipment:スコア)は、アメリカが1958年にうちあげた。スコアには地上の送信局の上空を通過中に受信したメッセージを記録するために、テープレコーダーが搭載され、メッセージは衛星が受信局の上空を通過中に再送信されるようになっていた。60年にNASA(アメリカ航空宇宙局)がうちあげたエコー1号は、表面をアルミ箔(はく)でおおわれた直径30mの気球で、高度1600mほどの低軌道を周回しながら、地上からの電波を反射する受動型通信衛星であった。およそ8年間にわたって軌道をまわっていたエコー1号の成功は、テルスターの開発へと発展していった。

1962年に当時のアメリカ電話電信会社(AT&T)がうちあげたテルスター1号は、初の能動型衛星で、アメリカ、ヨーロッパ、日本にテレビ電波を直接おくったり、数百の電話回線を中継した。

静止軌道上の衛星は、地上からみると、赤道上空の同じところに静止している状態となるので、見通し線上の地球局間で常に安定した通信ができる。1963年にNASAがうちあげたシンコム2号は、静止軌道にのった最初の通信衛星である。その後は、大半の衛星が静止軌道上に、うちあげられるようになった。

1963年に衛星通信事業をおこなうアメリカの民間会社コミュニケーションズサテライト社(コムサット:COMSAT。現、ロッキードマーティン社)が設立されて以来、通信衛星の打ち上げと運用は商業ベースでおこなわれるようになった。

1964年には、各国の通信事業者に対して通信衛星をつかい、音声や画像、データ通信サービスを提供する非営利の共同体として、世界18カ国が参加したインテルサット(INTELSAT:国際電気通信衛星機構)が発足した。65年にうちあげられたインテルサット1号「アーリーバード」は、アメリカ・ヨーロッパ間に音声2400回線または双方向のテレビ1チャンネルを提供した。60年代から70年代にかけて開発されたインテルサットの第2、第3、第4世代では、メッセージの容量および送信能力がいちじるしく向上した。インテルサットは90年代初頭までに15の通信衛星をうちあげ、世界一の大規模な通信網を構築した。

なお、インテルサットは、1999年に民営化することが決定。2001年に通信業務をおこなう民間企業と、それを監督する機関の国際電気通信衛星機構(ITSO:International Telecommunications Satellite Organization)とに分割された。

1

通信衛星サービス

商業通信衛星は多岐にわたる通信サービスを提供している。テレビ番組は国際的に中継され、いわゆる「グローバルビレッジ(世界村)」ともいうべき現象をつくりだしている。通信衛星は、ケーブルテレビ局や受信用アンテナをそなえた家庭にも番組を中継している。また、電話回線や、デジタルデータ通信の利用者も増加している。

通信衛星を利用した移動体通信を実現するために1979年に国際海事衛星機構として創設され、94年に国際移動体衛星通信機構に改称されたインマルサット(IMSO:International Mobile Satellite Organization)は、99年に民間企業と、それを監督する国際機関とに分割されている。インマルサットでは、移動体通信ネットワークを運営し、デジタルデータリンクや電話ファクス(ファクシミリ)のサービスを提供している。また、全世界の船舶や海外施設と海岸地上局をむすび、国際線の航空機にも電話やファクスサービスを拡大している。

2

技術革新

通信衛星システムは、大規模でコストの高い地上局の2地点間をむすぶ大容量中継幹線の1:1の形態から、小規模で低コストの複数の地上局を同時にむすぶN:Nの形態へと移行した。こうした移行は多元接続方式の開発によって加速され、容易になった。

電波ビームの有効範囲をしぼることによって、周波数再利用技術は、衛星に同じ周波数で多数の地上局との通信を可能にした。ビームの幅は日本全体をカバーすることもできれば、ある地域だけにしぼることもできる。

この技術を利用すれば、遠くはなれた2カ所の地上局が同じ周波数を使用していても、それぞれ別のメッセージを受信できる。衛星のアンテナは同じリフレクターをつかって、いくつかの電波をことなる方向へ発信できるように設計されている。

レーザー技術の衛星通信への応用もすすんでいる。レーザーは、衛星と地上間の通信に利用できるが、大気による吸収散乱のため送信効率はじゅうぶんでない。このため、大気による減衰のない宇宙空間、たとえば衛星と衛星の間でレーザーを利用した光通信をおこなう技術が開発された。また、衛星と潜水艦との通信には水を透過する青緑色の波長をもつレーザーが利用されている。

なお、通信衛星と放送衛星の違いは、たんに大出力であるかどうかということだけであり、通信衛星の出力が小さくても地球局(受信側)の性能(利得が大きい)がよければ、放送が可能となる。日本ではこうして通信衛星を利用したCSデジタル放送(デジタル衛星放送)による多チャンネル放送が実現している。

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