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地球の大気の中でもっとも多い気体元素。1772年、イギリスの物理学者ダニエル・ラザフォードが分離し、76年ごろ、フランスの化学者ラボワジェが気体の元素であることを確認した。 元素記号N。原子番号7。原子量14.0067。地殻中存在量は25ppmで31位。安定同位体の質量数と存在比は14N(窒素14)が14.003074で99.636%、15Nが15.000109で0.364%。周期表15族に属する。密度1.2507g/リットル(気体、0°C)、0.808g/cm³(液体、-195.8°C)、1.026g/cm³(固体、-252°C)。融点-209.86°C。沸点-195.8°C。
無色、無味、無臭の毒性のない気体である。無色の液体にもなり、無色の結晶固体にもなる。窒素は14Nと15Nの2種の天然同位体からなり、人工的につくられたもっとも安定な放射性同位体の13Nの半減期は9.965分である。常温で不活性だが、高温ではさまざまな元素と反応する。 窒素は熱した銅または鉄の上に空気をながすことにより、大気からえられる。このように酸素を銅や鉄の酸化物の形にしてとりのぞくと、窒素と不活性ガス(希ガス)の混合物がのこる。液体窒素は液体酸素よりも沸点が低いので、液体空気を分別蒸留(分留)し、先に留出した窒素をあつめることにより純窒素がえられる。 窒素は大気の容積の約5分の4(78.3%)を占める。不活性で、燃焼や呼吸のプロセスで酸素の希釈剤の役割をはたす。窒素元素は鉱物中に化合物として存在し、硝石KNO3やチリ硝石NaNO3が商業的に重要である。 窒素は植物栄養の主要元素であり、土壌中の根粒菌は大気中の窒素を硝酸塩などにかえ、植物が吸収できるようにする。このプロセスを窒素固定とよぶ。そして、タンパク質や核酸を生成する窒素同化がおこなわれる。動物は無機窒素化合物を同化できないので、植物が合成したアミノ酸などの有機窒素化合物をとりいれている。→ 窒素循環
重要な用途は、アンモニアNH3の合成である。化学工業でもちいられる窒素のほとんどは液体空気の分留によりえられる。この窒素をつかってアンモニアを合成する。アンモニアからは化学肥料や硝酸、尿素、ヒドラジン、アミンなどの多種多様な主要化学製品がつくられる。さらに、アンモニア化合物は一般に笑気とよばれる無色の気体である亜酸化窒素N2Oの製造にもちいられる。亜酸化窒素は酸素とまぜて、外科用麻酔薬(→ 麻酔)につかわれる。 液体窒素は低温学分野で冷却剤として広く利用されてきた。1980年代に窒素の沸点で超伝導性になるセラミック材料が出現し、冷却剤としての利用はいっそうましている(→ 超伝導)。また、ニューセラミックスとして、窒化ケイ素(→ ケイ素)、窒化ホウ素(→ ホウ素)などの用途も広がっている。
モータリゼーションと工業化がすすんだ今日では、おもに自動車や工場などの排ガスが発生源となる窒素酸化物NOx(通称ノックス)が問題となっている。おもに一酸化窒素NOと二酸化窒素NO2をさし、大気汚染、酸性雨、光化学スモッグの原因になるといわれている。主として燃料の燃焼から生まれる高温によって、空気中の窒素が酸化されることから発生する。 窒素酸化物の生成をおさえるために、燃焼技術と、触媒をつかった排ガス中のNOx除去技術の両面から、さらに開発がすすめられている。
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