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光沢のある銀白色の金属元素。遷移元素のひとつ。
1797年にフランスの化学者ルイ・N.ボークランによって発見された。化合物にさまざまな色合いのものがあるため、ギリシャ語で色をあらわすchromaにちなんで命名された。 天然に単独では存在しない。主要鉱石はクロム鉄鉱 FeCr2O4、紅鉛鉱 PbCrO4で、ロシア、南アフリカ、ギリシャ、トルコ、フィリピンなどに産出する。クロムをふくむ鉱石は、独特の鮮やかな色がある。ルビーやエメラルドなどの宝石の色は、わずかにふくまれるクロム化合物の存在による。 クロムは通常、2価、3価、および6価の原子価をもつ。亜クロム酸塩および第二クロム塩のクロムは3価である。緑色固体の酸化第二クロム Cr2O3をはじめ、3価クロム化合物の多くは緑色である。またクロム酸塩と重クロム酸塩のクロムは6価である。重クロム酸カリウム K2Cr2O7は水溶性の赤色固体で、ゼラチンにまぜると感光性の膜となり、写真に利用される。クロム酸塩には黄色のものが多い。クロム酸鉛PbCrO4は不溶性の固体で、顔料クロムイェローとして、またプルシアンブルー Fe4[Fe(CN)6]3とまぜて、クロムグリーンとよばれる顔料になる。
クロムの化合物で6価のものは、クロム酸塩や二クロム酸塩のかたちでクロムの精錬やめっきの工程、クロムの化合物や合金の製造などから発生する。長期にわたって高濃度のものを吸入すると、鼻中隔(→ 鼻)せん孔をひきおこす。毒性が強く、直接さわると皮膚炎になる。水質汚濁防止法(→ 水質汚濁)と政令にさだめられた水質環境基準では、1リットルの水に0.05mg以下とされている。
クロムのおもな用途は合金材料としてであり、合金の硬度、強度、耐食性を高める。クロムを12%以上ふくむ合金鋼はステンレス鋼とよばれ、常温で目にみえるさびをほとんど生じない。いわゆる18-8ステンレス鋼は、クロムを18%、ニッケルを8%ふくむもので、耐食性、加工性にすぐれている。またクロム、タングステン、バナジウムをふくむ高速度鋼は、高い硬度と耐熱性を生かし、金属を高速切削する工具に利用される。ニッケルとの合金であるニクロムは、加工しやすく線やリボンの形で電熱抵抗体につかわれる。ほかにめっきも重要な用途である。金属材料にクロムの層を付着させると耐食性と硬度がまし、表面にうつくしい光沢がえられるので、クロムめっきは装飾用、耐摩耗用めっきとして利用される。自動車のエンジンシリンダーライナーにもクロムめっきがほどこされている。 元素記号Cr。原子番号24。原子量51.9961。周期表(→ 周期律)の6族に属する。融点1900°C。沸点2690°C。密度7.14g/cm³(20°C)。地殻中の存在量122ppm。
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