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家畜化された哺乳類で、イノシシの仲間。食用として、ほぼ全世界で盛んに飼育されている。ウシ目(→ 偶蹄類)に属し、上下の顎(あご)に2本ずつ、上や外にむかって牙(きば)状にのびる大きな犬歯がある。それをふくむ44本の歯を特徴とする亜目に分類されるが、家畜化の結果、多くの品種で牙は小さくなっている。 豚は、ヨーロッパに生息するヨーロッパイノシシと東南アジアに生息するアジアイノシシの2種に起源をもつものと思われる。これらの野生種は、約9000年前に中国で、ややおくれてヨーロッパでそれぞれ別個に家畜化された。南北アメリカに豚を移入(→ 帰化種)したのはコロンブスやスペイン人の冒険家たちで、現存の野生豚は、それらの子孫であろう。
成熟した家畜豚の体は、ずんぐりとしている。やや長い、よくうごく鼻先をもつ。短い脚には、2つにわれた蹄(ひづめ)がある。尾も短い。あついが敏感な皮膚は、あらい剛毛におおわれている部分もあり、色はさまざまである。イノシシ類のほかの仲間と同様に、家畜豚もあしがはやく、かしこい。 成長や成熟がはやく、食肉の生産にはうってつけである。妊娠期間がおよそ114日と短く、出産のたびにたくさんの子をうむ。雑食性で、さまざまな種類の食べ物をかたづけてくれる。これが家畜化された理由のひとつであろう。食料資源としてみれば、穀類や大豆などの豆類を肉にかえてくれる存在である。肉以外にも、皮革がかばんや手袋に、剛毛がブラシにつかわれる。何世紀にもわたり、食用脂の原料にもなっている。アメリカ合衆国では1920年代半ばまで、ラードを大量に生産するために品種改良がおこなわれた。しかし、イギリスなどでは赤身の肉を生産するために品種改良がおこなわれ、ベーコンタイプとよばれる豚が生まれた。400品種をこえる現在の豚は、この2つのタイプの中間型で、食肉タイプの豚として知られている。脂肪の需要がへってきたため、ベーコンタイプにより近い食肉タイプの豚が開発されたのである。
豚は温帯性および亜熱帯性気候に適応しており、世界のさまざまな地域で飼育されている。1998年の統計で飼育頭数の多かった国は、4億8570万頭近い中国、6100万頭近いアメリカ合衆国、3143万頭のブラジルとなる。これにつづく国は、ドイツ、スペイン、ポーランド、ベトナム、ロシア、インドとなり、日本は980万頭となっている。世界全体では9億5361万頭以上になるものと推定される。 アメリカ合衆国の養豚業は、中西部のコーンベルト(トウモロコシ地帯)に集中している。とくに盛んな州は、アイオワ、イリノイ、ミネソタで、インディアナ、ネブラスカの各州がこれにつづく。このほか養豚の盛んな州としては、ミズーリ、ノースカロライナ、オハイオ、サウスダコタ、カンザス、ミシガン、ウィスコンシン、ジョージアの各州がある。 分類:哺乳綱ウシ目(偶蹄目)イノシシ科。ヨーロッパイノシシの学名はSus scrofa、アジアイノシシはS.vittatus。家畜豚はS.domesticus。
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