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項目構成
プロローグ; 修業時代と初期作品; 青の時代; ばら色の時代; 前キュビスムの時代; 分析的キュビスムと総合的キュビスム; キュビスムの彫刻; 写実的作品とシュルレアリスム作品; 1930年代初期の絵画; ゲルニカ; 第2次世界大戦とその後; 後期作品
1906年夏、スペインのゴゾル滞在中に、ピカソの作風は新しい段階にはいった。ギリシャ、イベリア半島、アフリカの美術による影響が作品の特色になる。「ガートルード・スタイン」(1905~06)の肖像でも顔が仮面のようにあらわされているが、この時期の代表作「アビニョンの娘たち」(1907)では、空間の奥行きを生む伝統的表現や理想化された裸婦のイメージを打破し、あらあらしい鋭角的な平面をくみあわせて再構成がおこなわれた。画面がくだけたガラスのようにみえるこの表現様式はあまりに斬新だったため、当時の前衛画家や批評家にすら理解されなかった。
1908年にピカソとブラックは、形態を量塊としてあつかうセザンヌの作品に触発されて風景画をえがいたが、のちにある批評家が「小さな立方体(キューブ)」からできているようだと評したことから、キュビスムという言葉が生まれた。この時期のピカソとブラックの絵は、区別がつかないほど酷似している。 1908~11年に2人は協力して形態の解体と分析にうちこみ、「分析的キュビスム」とよばれるキュビスムの最初の段階を展開させた。モティーフは徹底的に断片化され、ことなった角度からみた複数の面が同時に表現される。こうしたモティーフをえがくときには、しばしば単色がもちいられた。ピカソがこのんだ題材は、楽器、静物、友人である。 1912年には、紙と油布をキャンバスにはりつけ、絵具でえがいた部分とくみあわせて、最初のコラージュ作品「籘椅子のある静物」が制作された。この技法は、「総合的キュビスム」への移行をしめすものであった。このキュビスムの第2段階では、形態は断片的、平面的なままであるが、装飾性がまし、色彩が主要な役割をはたすようになる。 ピカソは生涯にわたって総合的キュビスムを実践するが、けっしてそれだけにかかわっていたわけではない。1915年の2点の作品は、同じころに、ことなった様式の作品をてがけていたことをしめしている。ニューヨーク近代美術館の「アルルカン」は総合的キュビスムの作品であるが、メトロポリタン美術館所蔵の画商ボラールをえがいた素描は「アングル様式」でえがかれたものである。アングル様式とは、すぐれたデッサン力が19世紀のフランス新古典主義の画家アングルに匹敵するために、そうよばれる。
ピカソは絵画だけでなく、キュビスムの彫刻も制作した。1909年のブロンズ胸像「フェルナンド・オリビエ」(別名「女の頭部」)は、3次元の形態を処理するピカソの見事な技量をしめしている。「マンドリンとクラリネット」(1914)などの木切れ、金属片、紙によって構成された作品では、キュビスムの絵画理論が立体で追求された。「アブサンのグラス」(1914)では、彩色がほどこされたブロンズ彫刻と、アブサン酒をのむときにつかう銀製の器具がくみあわされ、60年代のポップ・アートや、ピカソ自身が後年制作した「マントヒヒと青年」(1951)などの既製品を利用した作品を思わせる。
第1次世界大戦(1914~18)の間、ピカソはローマにいき、ディアギレフのひきいるロシア・バレエ団のために、衣装と舞台装置のデザインをした。1918年に、バレエ団のバレリーナだったオルガ・コフロワと結婚し、オルガと彼女との間に生まれた息子ポールや、多くの友人たちの肖像画を写実的様式でえがいた。20年代初期には、重厚で彫塑的な人体をえがいた「泉のそばの3人の女」(1921)や、古代神話に想をえた「牧神の笛」(1923)などの静ひつな新古典主義的作品を制作した。 同じころ、頭部の小さな水浴をする人々や、はげしくひきつったような女性の肖像も制作されているが、これらの作品はオルガとの結婚生活で体験した緊張をあらわしているといわれる。ピカソは自分はシュルレアリストではないとのべているが、「ひじ掛け椅子でねむる女性」(1927)や「すわる水浴の女」(1930)などには、超現実的で不安な雰囲気がただよっている。
1930年代初期のキュビスムの作品は、調和のとれた曲線が強調されて、エロティシズムを感じさせるが、そこには新しい恋人マリー・テレーズとの愛の喜びが反映している。35年には彼女との間に、娘マイアが誕生した。マリー・テレーズは、ねむっている姿で作品に登場することが多く、有名な「鏡の前の少女」(1932)のモデルにもなっている。35年には、ミノタウロスと闘牛の主題をむすびつけたエッチングの大作「ミノタウロマキア」が制作されたが、はらわたのはみでた牛や馬は、20世紀の最高傑作ともいわれる壁画「ゲルニカ」のイメージを予感させる。
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