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項目構成
アルファ粒子とベータ粒子は物質中を通過するときにイオンをつくりだす。物質が気体のときにはイオン化を容易に観察することができる。ガンマ線は電荷をもたないので直接にはイオン化をひきおこさない。しかし、物質との相互作用で原子から電子をはじきだすことがある(→ 放射線生物効果)。 ベータ線のおこすイオン化は、アルファ線が空気中を1cm通過するときにおこすイオン化の100~200分の1である。ガンマ線は、ベータ線の約100分の1のイオン化をおこす。ガイガー=ミュラー計数管やイオン化装置(→ 粒子検出器)は、アルファ粒子やベータ粒子、ガンマ線のそれぞれの量を測定し、その量から放射性物質の崩壊率をもとめている。放射線の単位であるキュリー(Ci)はラジウムの同位体、226Raの崩壊率にもとづいており、1キュリーは、ラジウム1gが1秒間におこす370億回の崩壊をあらわしている。
放射能の種類はほかにもある。同位体の中には陽電子(e+)を放出するものがある。陽電子は電荷の符号が逆である以外はふつうの電子(e-)と同じである。陽電子放出は、ふつうベータ崩壊にふくめられるが、負の電子を放出する通常のベータ崩壊(β-崩壊、陰電子崩壊)と区別するために、β+崩壊(陽電子崩壊)ともよばれる。陽電子放出では原子番号が1つへり、原子核内で陽子が中性子に転換することによっておこなわれると考えられている。 電子捕獲とよばれるものは、原子核にもっとも近い電子殻にあるK電子が、原子核に捕獲され、原子核内の陽子が中性子にかわる過程である。この場合も原子番号が1つへり、電子が軌道からはずれるときにX線が発生する。 ウランの核種や、人工的につくりだされた超ウラン元素の同位体の多くは、アルファ粒子を放出するアルファ崩壊だけでなく、自然に核分裂(自発核分裂)をおこして崩壊することが知られている。
238Uや²³²Thなどの崩壊は、崩壊率(比崩壊率)に変化がないまま永遠につづくかのようにみえる。しかしほかの同位体の中には時間とともに比崩壊率がいちじるしく小さくなるものもあり、234Thなどは、ウランから分離されたのち25日以内に、最初の放射能強度の半分になる。放射性物質はすべて固有の崩壊期間、つまり半減期をもっている。半減期がきわめて長いので崩壊の変化が観測できない同位体もある。たとえば238Uの半減期は4億4680万年、²³²Thの半減期は約140億年もある。
周期表で原子番号83のビスマス以降の原子番号の元素はすべて放射性である。さらに、原子番号がビスマス以前の元素でも、鉛(原子番号82、以下同)、タリウム(81)、白金(78)、レニウム(75)、ハフニウム(72)、ルテチウム(71)、ガドリニウム(64)、サマリウム(62)、ネオジム(60)、ランタン(57)、インジウム(49)、ルビジウム(37)、カリウム(19)、炭素(6)、水素(1)などにも天然の放射性同位体がある。
1919年、ラザフォードは通常の窒素原子(14N)にアルファ粒子を衝突させ、はじめて原子核反応をおこした。そのとき窒素原子は、アルファ粒子を捕獲して陽子を放出し、酸素の安定な同位体である17Oになるのが観測された。この反応は次のように記述する。
1933年、このような原子核反応が、ときには放射性元素を生成することが明らかになった。フランスの化学者イレーヌおよびフレデリックのジョリオ・キュリー夫妻が、アルミニウムにアルファ粒子をうちこんで、はじめて人工的に放射性物質をつくりだした。アルミニウム原子核はアルファ粒子を捕獲し、中性子を放出してリンの同位体を生成し、短い半減期で陽電子放出によって崩壊する。彼らはまた、ホウ素から窒素の同位体を、マグネシウムからアルミニウムの同位体を生成できることも発見した。 これ以来、多くの原子核反応が発見され、周期表のすべての元素に対して、アルファ粒子、陽子、中性子、重陽子(重水素の原子核)などをうちこむ実験がおこなわれた。こうした研究の結果、今では1000種以上の人工の放射性元素が知られている。この研究で活躍するのが加速器である。うちこむ粒子を加速器によってかなり加速することができ、標的の原子核に捕獲される可能性を高めることができるからである。
原子核反応の研究や重い元素における人工放射能の探求は、原子核分裂の発見と原子爆弾(→ 核兵器)の開発につながっていった(→核エネルギーの「原子の分裂と融合」)。自然界には存在しないいくつかの超ウラン元素も生成されている。原子炉の開発によって、周期表のほとんどすべての元素について、放射性同位体の大量生産が可能になった。放射性同位体がつかえるようになり、化学、生物学、医学の研究が促進された。→ トレーサー:放射線医学 人工的につくられた放射性同位体の中で、炭素の放射性同位体である14C(炭素14)がとくに重要である。14Cは、5730年の半減期をもち、光合成など生命活動のさまざまな側面を、以前には考えられなかったような基礎的な方法で研究することが可能になった。 また、地球の大気の中にはきわめて少量であるが、宇宙線にさらされた窒素原子が元素変換した14Cが存在する。この14Cは二酸化炭素にふくまれ、光合成や代謝の過程で、すべての生命体が吸収している。生命体の死後、吸収は停止し、14Cはベータ崩壊してゆくので一定の濃度を保つことはできなくなる。これを利用して、骨やミイラなど歴史的、考古学的に重要なものの年代が、14Cの測定によって推定できるようになった。→年代測定法の「放射年代測定法」
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