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プロパガンダ

プロパガンダ Propaganda
百科事典項目
項目構成
I

プロローグ

特定の態度や行動を誘発したり強化する目的のために思想や情報をひろめること。プロパガンダはよく事実の歪曲(わいきょく)および感情や偏見への訴えかけをともなうために、まやかしや事実を誤認させるものだとされることが多い。だが、この見方は相対的である。プロパガンダをおこなう者の中には、意図的に事実を歪曲する者もいるが、客観的な観察者として事実を忠実につたえる者もいる。弁護士の弁論趣意書も、屋外広告も、あるいはその目的がなんであれ教育もプロパガンダの一形態である。本質的な違いは、支持する態度や行動をとるように受け手を説得するプロパガンダを行う者の意図にある。

プロパガンダは個人、特殊な利益を追求する団体や組織、そして各レベルの政府によっておこなわれる。その対象がなんであれ、プロパガンダは合理的あるいは感情的な訴えかけを通じて説得をこころみる。今日では、コミュニケーション・メディアの効果的な使用が、それらの活動の中心である。

II

宗教的プロパガンダ

世界最古のプロパガンダの行使は、布教活動と関係していた。特筆すべきプロパガンダは、小アジアやギリシャ、そしてイタリアに最初の教会をつくったパウロによるものだった。また、キリスト教はカンタベリーの初代大司教で、イギリスにキリスト教をつたえた聖アウグスティヌスやゲルマン民族を改宗させた聖ボニファティウスによってローマ世界以外にもひろめられた。

近代のローマ・カトリックの布教活動は、とくにイエズス会などのいくつかの修道会に指揮されてきた。巧みなプロパガンダによってイエズス会は、17世紀には、宗教改革の間にプロテスタンティズムの手におちた中央ヨーロッパのひろい地域を回復できたのである。1622年にはグレゴリウス15世がローマ・カトリック教会のそれらの活動を指揮する布教聖省を設置した。

プロテスタントも教義をひろめるため熱狂的に力をいれた。16世紀のプロテスタントの改革者たちは、プロパガンダのすぐれた実践者であり、宣教師たちはプロテスタントの教旨を世界のすみずみにまでつたえたのである。

III

政治的プロパガンダ

明確な政治的目的のためにおこなわれたプロパガンダの歴史も古い。たとえば聖書は、アッシリア王センナヘリブが威嚇的なプロパガンダによってユダ王国をおそれさせ降伏させようとした、とのべている。カエサルは「ガリア戦記」をしるして、ローマでの名声を高め、権力の座へ歩をはやめた。

アメリカ独立戦争の際のプロパガンダ文学には際だったものがある。独立戦争以前に愛国者アダムスによって流布された書簡やディッキンソンの「ペンシルベニアのある農夫からの手紙」のような小冊子は、イギリスと事をかまえるにあたって、アメリカの意志を明らかにするとともに統一しようとしたものである。トマス・ジェファソンによって起草されたアメリカ独立宣言は、国内では世論の結晶化をはかり、外にむかってはアメリカの大義を正当化しようとした、理性的なプロパガンダの傑作であった。

また、独立戦争で軍事的敗北の瀬戸際にあった時期に、作家トマス・ペインは、「危機」と題する一連の小冊子をあらわし、長びく戦いでおとろえがちな士気を高めようとした。また独立戦争後に合衆国憲法の採択をめぐり議論が沸騰したときに、ハミルトンマディソン、そしてジョン・ジェーによってかかれた論説や、「フェデラリスト」として知られる論文集が新憲法を説明し、これを批准するようアメリカ人を説得した。「フェデラリスト」は、新生アメリカの市民の間で有効なプロパガンダの道具となったのである。

IV

文学的プロパガンダ

個人によるプロパガンダは、ときには文学的な形態をとる。小説、詩、そして演劇のみならず、哲学、歴史、宗教、そして経済学の古典の多くが、いくらかはプロパガンダの意図をこめながら書かれた。フランスの著述家ボルテールの歴史書、ルターの小冊子、そしてマルクスの著作が好例である。また、社会正義へのプロパガンダが、イギリスの統計学者ブースやアメリカの社会事業者アダムズによってすすめられた。

アメリカの文学で有名なプロパガンダの小説は、ストー夫人の「アンクル・トムの小屋」(1852)である。南部黒人奴隷の描写によって、ストー夫人は南北戦争以前の奴隷制度廃止運動の進展に寄与したのである(アンクル・トム)。

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