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ラジオという言葉はラジオ放送をさすことが多いが、もとは無線通信一般を意味する。ここでは無線通信についてあつかい、ラジオ放送に関しては放送の項を参照されたい。
無線通信は、電磁波のうち人間の目にみえる可視光線や熱をつたえる赤外線より波長の長い電波をつかい、情報をやりとりする。このうち、放送局が音声信号をのせた電波を発信し、不特定多数の人が受信するのがラジオ放送である。ラジオ放送以外にも、電波の利用される用途はテレビ放送、無線電信、電話中継、携帯電話、レーダー、電波航法などきわめてひろい。 電磁波のうち、無線通信につかわれるのは周波数が数キロヘルツから数百ギガヘルツ(ギガヘルツは10億ヘルツ)、波長でいうと数百キロから数ミリの領域の電波で、その周波数帯ごとに名称や使用目的がきめられている。たとえば中波ラジオにつかわれるのは、波長100~1000mの中波(MF)、海外の放送がきくことができる短波(HF)は波長10~100mの電波、FM放送につかわれているのは超短波(VHF)である。
中波や短波が遠方でもキャッチできるのは、こうした波長の電波が電離層(→ 電離圏)で反射されるため、地平線のはるか先まで反射をくりかえして進行するためである。 電離層は、地表から100~300kmの上空で気体分子が太陽の紫外線の働きによってイオン化している領域である。短波より波長が短い超短波(VHF)や極超短波(UHF)、マイクロ波(SHF)は電離層で反射しないため、地表では見通しのきく距離でないと、通信できない。 夜に外国の中波放送がよくきこえるのは、電離層の密度が夜間に低下し反射が強まるためで、太陽活動が異常に活発になると電離層がみだされ、電離層の反射を利用する短波通信が不可能になることがある。これがデリンジャー現象である。 いっぽう、波長の長い長波(VLF)は、海中にもはいっていく性質があり、SLBMを搭載した原子力潜水艦が浮上しないで命令をうけとるための通信法として軍事利用されている。
無線通信の機器には、送信機と受信機がある。放送の場合は送信機は放送局だけにあり、家庭には受信機があるだけでよい。これに対し、相互に通信する場合は、送信機と受信機が一緒になった機器がないと役にたたない。 送信機はある特定の周波数の電波をつくり、増幅する。この電波は信号をのせてはこぶ乗物の役目をするため搬送波とよばれる。この搬送波に、音声などの波で変調をくわえ、アンテナから発信する。 典型的な商業ラジオ放送局の送信機では、搬送波の一定の周波数は水晶発振器によってつくりだされる。搬送波をつかう通信法でもっとも簡単なのは、モールス信号で、搬送波を長短2種類の信号としてくぎって発信し、長短の組み合わせによって文字をあらわす。しかし、モールス信号は現在ではきわめてかぎられた領域でしかつかわれなくなってきた。 現代の通信や放送では、搬送波を周波数変調(FM)や、振幅変調(AM)などの方法で変調して発信する。振幅変調は、音声信号の波形を搬送波の振幅の変化として変調する。これに対し周波数変調は、音声信号を搬送波の周波数の変化として変調し、受け手につたえる。 受信側は、遠方からおくられてきた微弱な電波をとらえ、増幅してとりださなければならない。目当ての周波数の電波だけをとりだすことを同調、あるいは選局といい、共振回路という特定の周波数だけに同調する電子回路がつかわれる。 もっとも単純な受信装置は鉱石受信機で、初期にひろくつかわれた。アンテナがとらえた電波信号のうち特定の周波数の高周波を同調用コイルと可変コンデンサー(バリコン)をつないだ同調回路でとりだしたうえ、鉱石検波器で周波数の低い音声電流の成分だけをとりだす。鉱石検波器はエボナイトなどの絶縁物の筒の中に方鉛鉱か黄鉄鉱のかけらをいれ、バネでおさえた簡単な構造で、電流を片方向だけにながす性質を利用する。鉱石検波器のかわりに半導体であるゲルマニウム・ダイオードもつかわれた。 感度をよくするため、真空管をつかい高周波増幅や検波、低周波(音声信号)増幅をするさまざまな真空管受信機が誕生したが、革命的な変化をもたらしたのはスーパーへテロダイン方式だった。受信した高周波信号に、受信機内で発生させた別の周波数の高周波をミックスし、中間周波数(IF)とよばれる波長に変換したうえで増幅する方式で、真空管がトランジスターにかわったいまでも利用されている。
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