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生物学的には、生息場所の消失や捕食によって、あるいは環境の変化に適応できないために、あるひとつの種に属する生物の個体すべてが消滅してしまうことをいう。この言葉は、科や目といった上位の分類群の消失にもつかわれる。6億年にわたる化石記録をとおしてみると、絶滅は進化上しばしばおこる過程である。地質学的な時間の中で、たとえば氷河時代のように、気候や環境の変化によって、あるいはよりよく適応した新しい型の生物が進化してきて、以前の型のものにとってかわったために絶滅がおこっている。
化石によると、絶滅率は時代によってばらつきがあり、4、5回の大絶滅が、生物が多様化していく期間の間にはさまっている。大絶滅の期間を明らかにするには、化石をしらべて個々の生物がいつ絶滅したか算定する必要がある。これまでわかっている絶滅のうちで、もっとも大きなものは、二畳紀(→ 古生代)末、2億4500万年前におこったもので、海生種の96%、全生物種の50%以上がうしなわれた。この絶滅は、気候の悪化と地質学的な変化が同時におこったためにひきおこされた。 急激な絶滅がおこったもうひとつの時期は、6500万年前にあり、恐竜の絶滅で有名である。このときに、世界の動植物種の3分の1が絶滅している。この絶滅については、小惑星か彗星が地球に衝突し、そのあと気候に大異変がおきたという説明がひろくうけいれられている。大絶滅がおこったのとほぼ同時期、白亜紀の終わりごろに、メキシコのユカタン半島に直径300kmの隕石孔がつくられている。衝突によって土ぼこりや硫酸の巨大な雲が生じ、太陽光をさえぎって、地球を寒冷化させたと考えられる。この説の難点は、恐竜がすべて絶滅したのに、なぜほかの陸生生物の多くがこの天変地異の中を生きのびたのか説明できないことである。 別の仮説によれば、この大絶滅も、じつは数百万年かかって徐々におこったもので、たとえば地球磁場の変動とか火山活動が活発になるといった別の原因によって、気候が地球規模で比較的急速にかわったことによるとされている。 化石をしらべると、生物の種類がことなれば、絶滅率がいちじるしくちがってくることがわかる。たとえば、脊椎(せきつい)動物にくらべると、昆虫や二枚貝類は絶滅率が低い。
現代の絶滅の多くは、天敵がいない環境で種が特殊化した、大洋中の孤島や群島でおこっている。たとえば、ハワイ諸島にもともと生息していた鳥の3分の2と植物の10分の1が、最近絶滅している。絶滅したものの多くは、ハワイ諸島の固有種だった。大陸部から人間がもちこんだ捕食動物や競争者、あるいは病原体のために、多くが絶滅においやられた。こうした大洋島では、のこされた種も大部分が絶滅の危険にさらされている。 大陸部では、種の絶滅はそれほどありふれたものではない。記録にのこされた絶滅例のほとんどが、人間の仕業によるものである。生息場所の細分孤立化や消失によって、個体群の数がひどくへっていると、たまたまおこった天候不順が絶滅につながったりする。希少な生物が絶滅しやすいことは確かであるが、個体数が多すぎるほどであっても絶滅しないという保証はない。リョコウバトは、1800年代には北アメリカ東部の落葉樹林で、コロニーをつくって無数に繁殖していた。しかし、乱獲や森林の伐採によって急減し、1894年には野生種は絶滅した。 今日の世界的な生息環境の破壊が、現代の大絶滅を生みだす可能性があるために、絶滅は大きな関心をあつめている。熱帯諸国の生息環境消失率がもっとも高いが、皮肉なことに、こうした場所ほど生物多様性も高い。世界のいたるところで絶滅危惧種はおそろしい勢いでふえつづけており、人口の増加とともに絶滅率も急増する恐れが大きい。
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